太陽フレアの影響か、突然歯が痛くなった。

一日様子を見ていたが痛さが増してきたので歯医者に駆け込んだ。

大きな虫歯を発見されてしまった。

幸いギリギリ神経にまでは、いっていないということで

治療してもらい、痛み止めと抗生剤をもらって帰ってきた。

しかしどうにも頭が痛い。

歯が痛いと頭まで痛くなる。

しばし安静にしてようか。と寝っ転がってテレビをつける。

画面の中には今時の若者たちが「ヒウィーゴ、ヒウィゴー」言いながら歌い踊っている。

若さが眩しい。

歯痛と頭痛で憔悴しきった乱れ髪のわたしとは対照的にキラキラ煌めく彼らを見ながらふと思う。

「そういえば、ヒウィゴーってなんだ?」

長年、世に溢れる「ヒウィゴー」を無抵抗に受け入れてきたが

実のところ、私はヒウィゴーの正体を知らない。

なんだか煽られているような気はする。

彼らの動作から察するに、なにかに誘われているような気もする。

ウィーとゴーだからきっと誘われていそうだ。

画面の外の私はいかんせん歯痛で弱っていて彼らの誘いには乗れなかったが、

その勢いは眩しかった。

ヒウィゴーという音には不思議と湧き立つものも感じる。

こちらを動かしにきている音だ。

こうしてる間に早く意味を調べればいいものを、

ここまできたらヒウィゴーはヒウィゴーのままにしておきたい私がいる。

たぶん、一生このパーティー音を自ら発することはなかろうから、

そのままにしておいても特に問題はなさそうだ。

誤った用途で使うこともないだろう。

ヒウィゴーについてしばし思いを巡らせている間、歯痛のことをすっかり忘れていた。

ヒウィゴーには痛みを忘れる力もあるというのだろうか。

だからアーティストたちはこぞってヒウィゴーを使うのか。

ヒウィゴーには隠された効果効能があるのか。

長年愛されているのには理由があるのか。

なんの結論も出ないがヒウィゴーに向き合ってみたら意外にも愉快な夜になった。