20代の頃、お伊勢さんにお参りに行った時の話。

当時、お伊勢さんが何たるかを知らなかった無知な私は

「おみくじはどこですか」と授与所の方に聞いてしまった。

(お伊勢さんは国の安寧を祈る場で、個人的なのとはちょっと違う。)


授与所の方は丁寧に教えてくださった。

「おみくじはないのですよ。
伊勢に参られたこと自体が大吉ですよ」と。

「へえー」とは思いつつも当時はあまりよくわかっていなかったと思う。

でも、この出来事はよく覚えているので若かりし私の心のどこかに触れたのだろう。

最近になり、ふとこの出来事を思い出した。

そして今一度咀嚼する。

構造を取り出す。


幸せになりたくて、長らく求めてきたものたちは幻で

すでに幸せであった。

在ること自体が大吉だった。