2024年、スマートフォンの画面に「Aqua Timez」という文字と「2024年」という数字が並んでいる。かつてその事実に、どれほどのファンが涙し、あるいは信じられないような気持ちで画面を見つめただろうか。2018年の解散という大きな区切りを経て、再び彼らが私たちの前に姿を現したことは、単なる活動再開というニュース以上の、ある種の「奇跡」に近い感動をもたらした。
画像のアルバムアートワークに浮かぶ、水中に揺蕩うような青い光と少年のようなシルエット。そして、そこに添えられた『海いっぱいに降りしきる星』という言葉。これは新曲「ヒトシズク」の一節にある言葉だが、Aqua Timezというバンドがこれまで描いてきた世界観――悲しみや孤独といった暗い海の底にいても、必ずどこかから光が降り注いでいるという希望――を、あまりにも美しく言い当てている。彼らの音楽はいつだって、キラキラとした星空のような輝きと、深海のような静けさを同時に持っていた。
1曲目の「ヒトシズク」。
再生ボタンを押した瞬間に流れてくる音は、懐かしさと共に、確実に積み重ねられた6年間の厚みを感じさせる。太志の紡ぐ言葉は、相変わらず私たちの心の「一番柔らかくて弱い部分」に優しく触れてくる。強がる必要はない、泣いてもいい、そう肯定してくれるようなメロディ。一度は別々の道を歩んだ5人が、それぞれの人生という旅を経て、また一つの円の中に集まった。その音が重なり合った瞬間の喜びが、一音一音から滲み出ているようだ。
2曲目の「深呼吸の理由」。
タイトルだけで胸が締め付けられるような予感がする。私たちが日々の中で無意識に行う深呼吸、そこには「生きようとする意志」や「溜め息をリセットしようとする勇気」が隠されている。Aqua Timezはいつだって、日常の些細な動作や感情に名前を付け、それを応援歌に変えてくれた。この曲もまた、2024年の今を生きる私たちにとって、なくてはならない酸素のような楽曲になるのだろう。
「しっかりと聞きます」という言葉には、強い覚悟のような響きがある。
それは単に音楽を消費するということではなく、彼らが不在だった時間の空白を埋め、彼らが再び楽器を手に取ってくれたことへの感謝を噛み締める行為だ。一度「最後」を経験したからこそ、今ここにある「最新」の音が当たり前ではないことを、私たちは痛いほど知っている。
太志の声が、TASSHIのドラムが、OKP-STARのベースが、大介のギターが、mayukoの鍵盤が、再びアンサンブルとなって鼓膜を震わせる。それはまるで、止まっていた時計の針が、以前よりも力強く、けれど優しく時を刻み始めたかのようだ。
『海いっぱいに降りしきる星』。その美しい情景の中で、彼らの奏でる「今」を全身で受け止める。歌詞の一行、メロディのひと回し、ブレスの瞬間に至るまで、聴き逃さないように。このアルバム(作品)は、Aqua Timezと私たちが再会し、これからの未来を共に歩んでいくための、新しい約束の証なのだから。

