秋の夜、安曇野の空気が少しだけ肌寒くなってきた頃。
庭先に七輪を置いて、炭を熾す。
パチパチと音を立てる炭火の前に座るだけで、心がゆっくりとほどけていく。

🔥ホタテの殻焼き──海の香りが立ち上る瞬間

まずはホタテ。仕入れ先は綿半。
殻付きのまま七輪に乗せると、じわじわと貝柱が白くふくらみ、バターと醤油を垂らした瞬間、香りが爆発する。
ジュワッと音を立てながら、貝の中で旨味が踊る。
ひと口食べれば、海の記憶が口いっぱいに広がって、思わず「うまっ…」と声が漏れる。

🫘納豆の油揚げ──地味だけど、主役級の存在感

そして今回のダークホース。
納豆を油揚げに詰めて、爪楊枝で口を閉じ、七輪の上へ。
表面がこんがり焼けて、香ばしさが増した頃が食べ頃。
外はカリッ、中はトロッ。納豆の粘りと香りが、炭火の力でまろやかに変化する。
これが、想像以上にうまい。ホタテの後に食べても、全然負けてない。むしろ、地味な納豆が主役に躍り出る瞬間だった。
お酒が進む進む🍶そんな夜でした。
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🌙七輪時間は、心のリセットボタン

スマホもテレビもない時間。
炭火の音、食材の香り、夜風の冷たさ──五感が研ぎ澄まされていく。
「ただ焼いて食べるだけ」なのに、こんなにも満たされるのはなぜだろう。
きっと、火を囲むという行為が、原始的な安心感をくれるからだ。

次は、チーズ入りの油揚げや、味噌ダレで焼く野菜も試してみたい。
七輪は、アイデア次第でどこまでも遊べる。
そしてその遊びが、日常をちょっとだけ特別にしてくれる。