親権者による子の連れ去り
1,構成要件該当性
未成年略取・誘拐罪が成立しないか(224条)
争点 「略取」又は「誘拐」にあたるか。
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論証 略取誘拐とは、人を保護されている環境から引き離して自己又は第三者の事実的支配の下に置くことをいう。 そして、暴行強迫を手段とする場合が略取であり、欺罔誘惑を手段とする場合が誘拐である。 |
調査官解説682P |
争点 監護権者が未成年者略取・誘拐罪の主体となりうるか。
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論証 未成年者略取・誘拐罪は、略取・誘拐された者の自由と、監護権者の監護権の両方を保護法益とする。 |
新実例各論423P |
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検討 ア当該主体以外に監護権者がいる場合 相手方監護権者の監護権が侵害される限り、監護権者が未成年者略取・誘拐罪の主体となる。 イ当該主体以外に監護権者がいない場合 被略取者の自由に対する侵害の有無を検討する。 |
私見 |
争点 被略取者の承諾がある場合
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論証 未成年者略取・誘拐罪の保護法益論。 したがって、監護権者の監護権が侵害される限り、未成年者略取・誘拐罪は成立しうる。 |
新実例各論423P |
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検討 ア当該主体以外に監護権者がいる場合 相手方監護権者の監護権が侵害される限り、未成年者略取・誘拐罪は成立。 イ当該主体以外に監護権者がいない場合 被略取者の承諾の有無を検討する。 |
私見 |
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被略取者の承諾の有無の考慮事情 ○年齢や具体的状況から見て、真に有効な承諾が認められるか否か |
新実例各論424P |
2,違法性阻却事由
争点 親権者が相手方親権者の保護下に置かれていた子供をつれだした場合、違法性が阻却されるか。
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論証 親権者が子を自己の監護下に置こうとすることは、親権の本質的な内容といえるのみならず(民法820条,821条等)、親子の情愛という人間の根源的感情に根差すものである。 したがって、①親権の行使として正当化できる場合のほか、②家族間における行為として社会通念上許容されうる枠内にとどまるならば、違法性が阻却されるものと考える。 |
調査官解説692P |
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考慮事情 ①○被拐取者の監護教育上限に必要とされるような特段の事情の有無 ②○行為態様の悪質性 ・粗暴で強引なものであったか ○自分の生活環境についての判断・選択能力の有無 ・被拐取者の年齢 ○略取後の監護教育について確たる見通しがあったか否か *①を最重視して評価すること |
新実例各論427P |
