水に浸かってしまう言語… | 裕ちゃんが、言うよね~!

水に浸かってしまう言語…


冠水の意味とは?


浸水、洪水、水没との
違いについても解説!


梅雨や台風の豪雨等で
地表が水に浸かってしまう現象は、
毎年の様に発生していますね。

ところで、この現象について
様々な用語が使われている事を
ご存知でしょうか?
浸水(しんすい)、洪水(こうずい)、
冠水(かんすい)、
水没(すいぼつ)等です。

同じ事を意味するなら
統一してしまえば良いとも
思うのですが、
これらの言葉には
違いがあるのでしょうか?

この記事では、冠水を軸に、
他の類義語との違いを紹介します。


◆冠水ってどういう意味?

そもそも冠水とは、
どの様な意味を表す
言葉なのでしょうか。

元々、鉄道が通っていて、
交差する道路を踏切としない時に、
鉄道を高架とするには
鉄道を運休できないとか、
道路を陸橋にできない制限が有り
下を掘ると、くぼんでしまうため、
(→アンダーパスと呼ぶ)
必要以上の雨量となると、
冠水しやすくなる…


ガード下だから雨宿りできると
油断すると、冠水して
車ごと脱出出来なくなったり、
車の損害が大きく
廃車になったりする!
ガードや路面等、
冠水注意の表示には気を付けて…


冠水とは、
津波や洪水、豪雨等の影響で
家や車、田端が
水に浸かってしまう状態を
意味する言葉です。
基本的には、不特定多数を示さず、
一部に限定して言います。

水田等の場合は、
必要以上に水に浸かってしまう状態を
意味するので、
稲作における水田は、
基本的には
冠水等の災害用語は使いません。

主に新聞や書籍等
文章中で用いられる事が多く、
話し言葉としては使われません。
「かんすい」という音の言葉には、
完全に終わらせる意味の
「完遂」等があるため、
混同しやすいんです。
製麺に使う水も、「かんすい」ですね。

なお、
自然界にある海や池、湖等、
普段から
水に浸かって(貯まって)いる場所は
冠水とは呼ばず、
あくまで普段は水の無い場所が
水に浸かってしまう事を表しています。
ダム等で堰き止めた人造湖は、
水没等の表現となります。



◆冠水と浸水の違いとは?

この「冠水」という言葉ですが、
浸水や洪水、水没等、
似た様な言葉がいくつかあって、
紛らわしく感じる事もあると思います。

これらの言葉の違いは、
一体何なのでしょうか?

判り易い、右上の冠水標識…

まずは冠水と浸水の違いを
見ていきましょう。

浸水も冠水と同様に
一部に限定して
水に浸かってしまう現象を指します。
テレビやラジオでも
使われる事が多い一方で、
浸水は冠水とは異なり、
災害時の「床上浸水」等々
話し言葉としても活用されていますね。

その一方で、冠水が浸水に比べて
あまり耳慣れないのは、
そもそも口頭では
あまり使われないからの様です。


また、浸水は
水に浸かった状態だけではなく、
「家が浸水する」の様に
「ある場所にこれから水が入ってくる」
「今まさに水が入り込んできている」
状態も指す事があります。

 
◆冠水と洪水の違いとは?

では、
冠水と洪水の違いは何でしょうか。

洪水も冠水や浸水と同じ様に、
普段は水の無い、とある場所が
水で埋まってしまう事を指しますが、
特に洪水は自然災害になるほど
規模が大きい事を意味します。

冠水は「冠水する」等、
文章で表現する場合がありますが、
洪水はそれ単体で用いる事ができる
言葉であるのも特徴ですね。
洪水が表す現象としては、
堤防等の建物を崩壊させたり、
土砂崩れを起こす等、
「不特定多数の人や物に対して
被害を与える冠水」を呼ぶ事が
多いです。
土砂崩れの場合は、
地域住民はもちろん
郵便や宅配便、観光客等、
住民以外の外部の人まで
広範囲に影響します。


水位10cm前後で
ブレーキが効きにくいと、
『ハイドロプレーニング現象』であると
教習所で習いましたね…
水位30cmでは、
アクセルを離すと排気管から
水が侵入してエンジントラブルになる
可能性が出てきます。
排気ガスの噴射で
水の侵入を防がないといけないので、
とにかく吹かしっ放しとなります。
ブレーキパッドやドラムにも影響し、
ハイドロプレーニング現象とは異なる
ブレーキの不具合も出るでしょう…
車両では水位30cm以上から、
本格的に冠水と呼んで良い様ですね…

2021年8月中旬の豪雨では、
ローダウンしてない車両において、
水深5〜10センチの路面でも
エンジン破損の危険があると言い、
ドライバーらに
「不要不急の外出は控えてほしい」と
呼びかけている。

水深60センチでは走り抜ける事が
できなかった他、
ゆっくり走ると、排気管から浸水し
エンジンに逆流するのは判っていたが、
水深30センチでも
時速30キロ走行時は
時速10キロ走行時に比べ、
巻き上げる水量が増える事から
エンジンに水が入りやすい事が判った。

走行してなくても、
下り坂に駐車していると、
排気管出口を坂の上に向けており、
浸水しやすくなる。

車高を下げたローダウン車や、
積載量が多い車両は、
もっと水深が浅くても
エンジン破損があり得る。

時速10キロで低速ギヤとして、
アクセル吹かし気味にすると、
排気ガスが浸水を抑えてくれるが、
吹かし続ける事も重要である。

◆冠水と水没の違いとは?

最後に、冠水と水没の違いについても
見ていきましょう。

水没は
「今、水に埋まろうとしている」と
いうよりも、
「既に水へ埋まってしまった後」、
「水面から出ていない」状態を
指します。
そして場所というよりも
特定の物に対していう事が多いです。

物体の大きさや水の量は関係なく、
ある物体が水の中に沈んでしまえば
水没です。
「トイレやお風呂に
スマホを水没させてしまう」話や、
「ダム建設で村が水没した」という
ニュースは、よく聞かれる例ですね。



『ルパン三世カリオストロの城』でも、
クラリスの先代が残した宝物が、
湖水に沈んだ古代遺跡だったという
結末でしたが、
湖水が抜ける前の古代遺跡も、
水面下に在るので
水没という表現となります。


ちなみに車の場合は、
完全にボディ全体が水面下に無く
エンジンルームが水面下の場合でも、
エンジン燃焼室にまで水が侵入したり
バッテリーショート等により、
始動できない可能性が高いため
水没という表現となります。

これから起こる行為、
現在進行中の行為を意味する
冠水に比べ、
水没は
「すでに起こった事」を表しています。
「冠水」が「完遂」したのが、
『水没』…

この2つの違いは少々独特なので
注意したいところです。
水没の場合は
「水没するかもしれない」等、
後に続く文章で未来形や進行中を
表現しなければいけません。

歩行者や自転車がいるのに、
水を跳ね上げての走行も、
道交法違反です…

★この記事の、まとめ

冠水の意味と、
浸水や洪水、水没との違いについて
ご紹介しました。

一般的には、
ビックリマークの標識が多い。

それぞれの意味と違いを、
もう一度振り返ってみましょう。

・冠水:家や田畑等が水に浸かる状態、
 文章中で用いられる事が多い
・浸水:冠水の意味に加え、
 話し言葉でも利用される
・洪水:冠水の規模が
 大きくなった状態
・水没:既に水に埋まってしまった
 後を表す状態

気象庁ホームページ リンク先…



きちんと確認してみると、
その違いが良く解りますね。

今後、
これらの言葉を使う機会があれば、
その使い分けには注意したいですね。