あの頃、私は何とか娘を引き戻したいと思っていました。
どうにかして、目を覚ましてほしい。
このままではいけないと、何度も伝えました。
でも、何を言っても届かない。
家族だからこそ、助けられると思っていたのに、家族だからこそ、どうすることもできないことがあるのだと感じました。
娘は以前、こんなことを言っていました。
「男なんて、お金が発生しないのに会いたくない。そんなことなら、仕事してた方がマシ」
その言葉を聞いたとき、私は何とも言えない気持ちになりました。
本当は、優しくしてくれる人が欲しかったのかな。
お金のことなど考えずに、一緒にいたいと思える人が欲しかったのかな。
今となっては、娘の本当の気持ちは分かりません。
でも、その後、娘に普通の彼氏ができてから、娘の様子は大きく変わっていきました。
あれほど何を言っても届かなかったのに。
親がどんなに心配しても、どんなに必死に伝えても変わらなかったのに。
親ではない誰かとの出会いが、娘に変化をもたらしたのです。
そのとき、思いました。
親だからといって、何でもできるわけではないんだな、と。
どんなに心配しても、どんなに助けたいと思っても、本人の気持ちをこちらの思うように変えることはできない。
親には、どうすることもできないことがある。
それは、とても苦しいことでした。
でも、親の言葉が届かないからといって、これから先もずっと何も変わらないと決まったわけではなかったのです。
私には想像もできなかったところから、娘の変化が始まりました。