車に乗り込み、私たちの夜は終わった。
相変わらず、助手席に私。後部座席には彼。
運転手は大欠伸をする幼馴染だった。
「眠くなったら変わるからね?」
「眠くなーい全然平気〜」
「一緒に死ぬのがあんたじゃ不服だよ」
相変わらず私と幼馴染は話が尽きない。
ただ、内容が薄っぺらいから今となってはほとんど覚えていないのが、私たちらしいというか、寂しいというか。
後ろを見てみれば、朝日も見ずに眠っていた彼はまた眠りこけていた。
「ほんとよく寝るね、彼。いつもこうなの?」
「いや、そもそも誘ってもほぼ来ない。だから来ただけで奇跡。」
「ふーん…」
彼ともう少し話をしてみたかった気もするし、
別にどうでも良かった気もする。
当時私には、付き合うことを前提に!とアプローチされながら友達として関わっていた男性が他に2人いたからだった。
彼は眠ったまま、私と幼馴染は喋り続け、いつのまにか彼の自宅の前についていた。
帰り道はあっという間だった。幼馴染が彼を起こし、彼は寝ぼけたまま「おつかれ」とだけ言って家に帰っていく。
その頃になれば、私と幼馴染はお腹が空いてきて、私の家の近くのファミレスでモーニングをした。
その頃には流石にお互い眠くて眠くて
箸がころげてもおかしい、そんなテンションだった。
「彼、面白いだろ」
「面白い?んー、飾りっ気がないところはあまり今まで出会わなかったタイプかも」
「でもな、付き合うとかは辞めときな。」
「まだ付き合うも何も笑 でも、なんで?」
「苦労すると思う。なんか分からねんだよな、何考えてるのか。もかは感情豊かだし優しすぎるだろ、絶対疲れると思う」
「褒めてる??ありがとね?でもとにかく今は、付き合うとか付き合わないとか、なんかどうでも良くって。」
「それならいいんだけどさ」
話し尽くした私たちは、「本当に、帰ろうか」
「帰らなきゃね、1人で事故らないでよ」
「孤独に死んでたまるかよ」
私たちなりの思いやりを込めた言葉で互いを送り出し、それぞれ帰宅したのだった。