どのくらい経っただろうか


幼馴染から、「着いたよ」の連絡

思ったより早かったのだと思う。何も考えずにワンピースをきて降りていった私を見て、


「似合わねぇ笑」と笑った幼馴染に

「相変わらずうるさいな」と返した私は当たり前に後部座席に乗ろうとした。


そこにいたのだ

神様がいるなら、その面前に差し出してやりたい彼が。今でこそ、その姿も面影も無くした亡霊のような彼が。


扉を開けて、「え、だれ?」

聞いたのか聞かないのか、そもそも彼からは返事がなかったように思う


幼馴染から、「同じ大学なんだよ、いつもなら寝てるはずなのに今日はなぜかついて来たんだ笑」

と紹介された彼は

お世辞にも愛想がいいわけでもなく、目を合わせるでもなく

ぺこっとお辞儀だけをして静かにそこにいた。


何と無くの気まずさがあった私は

目的を助手席に変えた。「私、モカと言います。

もかちゃんとでも呼んで」


そこからはずっと幼馴染と話をしていたように思う。彼だって会話に誘いかけていたけれど、なんとも愛想のない男だったんだ。