1998年5月に亡くなったXJAPAN♡hideさんのドキュメンタリー映画です。没後20年プロジェクトの一環として作成されました。監督を石川智徹さん、ナビゲーターは若手俳優の矢本悠馬くん。

 

 

 

※この記事はかなりのネタバレを含みます。なので今後こちらの作品をご覧になる予定の方はご注意下さいm(__)m

 

 

 

矢本くんはテレビを見ていると結構あちこちで見かけます^^。菅田将暉くん、二階堂ふみちゃんとトヨタのサブスクリプション・KINTOのCMにも出ておられますし、NHK大河にも出演経験のある若いながらも優秀な俳優さんです。明るく弟的な雰囲気が好感持てますね。

 

 

 

 

(YouTube様よりお借りしました)

 

 

冒頭、hideさんのお墓参りをする矢本くん。墓碑に刻まれた「愛する息子 秀人」と「父 母」の文字。まだ33才の息子さんに先立たれたご両親の気持ちはいかばかりだろうと、ただただ胸が痛む。

 

 

 

そしてその墓碑にはhideさんの最後の作品「HURRY GO ROUND」の歌詞も綴られています。

 

蔦は絡まり 身は朽ち果てて
思い出の欠片 土に帰り
また 花となるでしょう
Like a merry-go-round & round
また 春に会いましょう

 

この詞が輪廻転生を暗示しているのではないか、故にhideさんの遺書的なものではなかったのかという憶測もあったらしい。

 

 

 

映画はそのメッセージに何が込められていたのか、hideさんとは本当はどんな人だったのか。生前の彼を知らない若い矢本くんがhideさんゆかりの地や彼をよく知る人々を訪ねながら、亡くなるまでの数ヵ月を追っていく作品です。

 

 

 

hideさんの出身地は神奈川県横須賀市。中心部から都内へは鉄道利用で約1時間。東京湾の入り口に位置するため江戸時代からその港は国防の拠点とされ、現在でもアメリカ軍基地や自衛隊駐屯地が置かれています。

 

 

 

そんな背景があってか町並みはエキゾチック。その中でも特にレトロアメリカンな雰囲気漂うどぶ板通り。そしてライブハウス、お気に入りの定食屋さん。hideさんはこの町を象徴する有名人ということで、今でも多くの方に慕われていらっしゃいます。

 

 

 

次に訪ねるのは彼を一番よく知っている、マネージャーでもあった実弟の松本裕士氏。

 

 

 

松本さんはhideさんのオフィス・HEADWAXの代表取締役でもあります。今でもファンのために発信を続けて下さっている。ありがたいですね。

 

 

 

松本さんに聞くhideさん像。プロとしては大変厳しい人だった。一方やさしさと思いやりにあふれ自分の子供も本当に可愛がってくれた。

 

 

 

当時の映像が残っている。腰に抱きつき甘えた仕草でhideさんを見上げる幼い甥っ子ちゃん。その彼を見つめるhideさんは艶やかなメイクのせいか、まるで聖母マリアのように見える。。

 

 

 

矢本くん、松本さんにお借りした大量のテープを観るため部屋を借ります。懐かしく貴重なプロモーションやライヴ映像。

 

 

 

矢本くんが彼の音楽、人間性に惹かれどんどんファンになっていく様子がわかりやすい^^  あたしも初めて目にする映像がほとんどでしたから、矢本くんと一緒にhideさんという方をもっともっと知りたいって思いながら見ていました。

 

 

 

ただもともと、XJAPANよりも正直hideさんの印象の方が強かった。何故なら彼が亡くなったニュースがあまりXJAPANに詳しくないあたしにも衝撃だったこと、そしてその後テレビや有線放送からまるで洪水のようにhideさんの音楽があふれだして来たから。

 

 

 

ピンクスパイダー、EVERFREE、ROCKET DIVEなど、特にテレビ画面からまるで飛び出してくるかのような躍動感のあるポップな映像はとてもインパクトがあった。友達がMDにダビングしてくれたっけ。

 

 

 

で、その中でもあたしはピンクスパイダーの「翼を欲しがるピンク色の蜘蛛」というちょと切なげな世界が好きだった。だがこの記事を書くにあたって調べてみたところ、

 

 

 

ピンクは妄想、そしてスパイダーは蜘蛛ではなくその蜘蛛が吐き出す糸を意味する英語「WEB」を表したものだというのだ。

 

 

 

つまりこの歌詞は当時hideさんが趣味にしていたインターネットから発想されたものだったらしい。それにしてもその黎明期ともいえる当時、WEBのイメージを歌詞にしちゃうhideさんはやはり新しい感覚を持っておられたのだと実感する。

 

 

 

そして悲劇の起こる4日前まで滞在していたというロサンゼルス

 

 

 

「ピンクスパイダー」のMVを撮った路地裏、「HURRY GO ROUND」が録られたレコーディングスタジオ、そのパティオに今もあるバスケットゴール、散骨が行われたサンタモニカの海。20年前とあまり変わらないというhideさんの愛したLAの風景。

 

 

 

乾燥した空気がギターにいい感じの影響を与えるからここが好きと言っていたhideさん。生まれ育った横須賀にも似た街の雰囲気もあって余計に心惹かれたのかな。。

 

 

 

若いhideさんの急逝は周囲の人々の心に強烈な痛みを刻み付ける。自分がバンドに誘っていなかったら?あの時もっと引き留めていれば?あの夜もっと一緒にいたら。。YOSHIKIさん、ご友人、弟さん、みな後悔の言葉を口になさっています。

 

 

 

そんな風に思わない方がいいよって言いたいけど否がおうでも思ってしまうのだろう。決して巻き戻すことが出来ない時間。もうどうしようもないこととわかっていても自分の中でいくつもの仮定の選択肢を反芻し、もしかしたら。。って堂々巡りをしてしまうのかも。。

 

 

 

よく時間が解決してくれるなんて言う人がいるけどそんなものではないよね。。

 

 


当時出版された「ROCKIN'ON JAPAN」 1998年6月号はhideさんの追悼特集でした。当時編集長だった山崎洋一郎さんがお話をしてくださっていました。

 

 

 

その頃の海外ではロックは多様性に富みとても面白い時代だった。それをいち早く吸収し国内で展開しようとしていた彼は日本の音楽シーンに新しい風を吹き込んでくれた人だと思う。

 

 

 

また「HURRY GO ROUND」の歌詞については「(hideは)自分の思いを詞に綴るタイプではなく聴いてくれる人に何を届けたいかを重視していた。だから詞に彼の心情が反映されてるかというとそれは違うと思う」との考えを示していらっしゃいます。

 

 

 

もうひとり矢本くんが訪ねたのはI.N.A.さん(稲田和彦さん)。90年代初頭からバンドのメンバーとも親しく、hideさんのツアーに同行したりレコーディングも一緒にされていた方ですね。

 

 

 

またhide with Spread Beaverのメンバーでもあり、2000年~2003年にはPATAさん、HEATHさんとDope HEADzというバンドを組んでいらしたこともありました。

 

 

 

スタジオで「HURRY GO ROUND」のデモテープを作るhideさんの貴重な映像もありました。その完成前に亡くなってしまったhideさん。なのでその後は稲田さんが中心となり仕上げていくわけですが、デモ音源から曲を起こすことから始まった作業は大変なご苦労があったみたいです。

 

 

 

そしてあたし的にこの映画のクライマックスではないかと思ったのが後半部分。

 

 

 

I.N.A.さんからスタッフ宛に届きたメールとその内容。今回撮影に協力するにあたり過去のデータを調べなおしていたところ、なんとオリジナルとは別バージョンのテープが見つかったのだという。その存在は誰にも知られることなく20年間倉庫の片隅で眠り続けていた。

 

 

 

I.N.A.は、デモ音源を石川監督らに聴かせた際のことを振り返り「今回は撮影が終わった後に、監督と音声の方が僕のそばに来て、映画の中でも掛かったけど、(聴いたら)本当にhideさんの声が生々しくて、ビックリした。是非映画の中で使わせていただきたいんだけどということで、お話を頂いたんです。でもその時点ではただのデモテープだと思っていたんです。だからお断りしていたんですけど、家に帰って改めて見たらそのファイルが見つかり、僕自身もすごくビックリして。それだったら“これを完成させて、皆さんの下へ届けられたらいいな”と思ったんです」と映画での収録、そしてトリビュートアルバムへ収録された経緯を語る。

 

なおボーカルをhide、ギターは同じくX JAPANのメンバーであるPATAが弾いているものであるという。

 

(Music Voice 2018年5月27日の記事より引用させていただきました)

 

 

 

まるで奇跡のような出来事が起こったのですね。20年間頑張ってきたファンと彼を慕う方たちへ、天国にいるhideさんからのプレゼントかしらってちょと思いました。

 

 

 

歌詞にある「まわるまわる」の言葉。これより前に書かれたhideさんのメモでは「まわれまわれ」になっていたそうです。「先に直感として閃いた方が真実なんじゃないのな、みんなへの応援歌的な♪」との矢本くんの考察、皆様はどう思われますか?

 

 

そして前出の山崎洋一郎さんの言葉。「何よりもファンを大切にしていた彼がそのファンを悲しませるような行為をするわけがない」この言葉に共感する方がほとんどじゃないのかな。

 

 

20年の時を経て蘇ったHURRY GO ROUND(hide vocal Take2)​​​​は、2018年6月6日発売のhideさんのトリビュートアルバム『hide TRIBUTE IMPULSE』に収録されています。

 

ハート イエローハート ハート イエローハート ハート イエローハート ハート イエローハート

 

時代の最先端を駆け抜けたhideさんという天才。彼の功績は計り知れなく未だ多くの人を魅了し、これからもずっとファンを増やし続けていくのだと思う。

 

ハート イエローハート ハート イエローハート ハート イエローハート ハート イエローハート