両手でしっかりと竿を握りしめ、両の眼で後方を跳ねるルアーを睨んでいた[澪]が、何かの気配にふと、船べりに視線を落とす…


[澪]:『シイラ!!デカイ!!



見るからにメーターUPのシイラが船べりを通り、[澪]のルアーめがけて真っ直ぐに走って行った。


次の瞬間…


『ジッ………ジジィ―――ッ』





ドラグの悲鳴と共にシイラの大ジャンプ!!



パヤオに向かってまっしぐらに突っ込んで行く。


すかさず[船長]が全速力で船を反対に走らせる。



どうにかギリギリの所でパヤオをかわし、戦闘態勢が整う。

シイラは真っ青なフィールドを縦横無尽に走り回り、ジャンプを繰り返す。



先の【彼】とのファイトもあり、[澪]の体力も限界に達しているのであろう、肩で息をしながら何かを叫んでいるが、言葉になっていない。

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数分後…



壮絶なファイトの末、[船長]のギャフによってランディングしたのは…

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[澪]の自己記録となる
【131,5cm】の立派なシイラ♀

完全に握力も無くし、記念撮影すらままならない。

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これで完全に燃え尽きた[澪]。
へたり込み、感動を噛みしめながら項垂れている様は、まるで矢吹のそれのようである。


これを見て、俄然【闘志】を燃やしているのが[海人(小)]。竿頭は譲れぬと、自ら[船長]に懇願し【モリ礁】まで戻り、最後の一流しをする事になった。


[最終章]に続く…