遠くでキメジのライズ。

すぐに舵を向ける[船長]…
だが、食わない。



[船長]:『おかしいなぁ。なんで食わないんだろう…?』







今度はカツオが跳ねた。









すると、[澪]のホッパーにアタリが!!








アタリ!?


いや…『弾かれた』とでも言うべきか。







水面を飛び魚のように跳ねていた『それ』が、まるで小次郎の【燕返し】で下段から一閃されたかの如く弾き飛ばされた刹那…
[澪]の悲鳴と共に、わずか数秒で200m以上のラインがなくなっていた。









何が起きたのか認識できないまま、本能的に船を走らせる[船長]。

咄嗟の判断は『やはり』本物、流石である。



[海狩人]と[海人(小)]は曳き釣り仕掛けを回収する。









そう、[澪]のルアーに【件の彼】がバイトしたのである。








[船長]は巧みに船を操りながら[澪]に巻き取りの指示を出している。



【彼】は船の後方40~50mほどの所でジャンプを繰り返す。


まだ状況は把握しきれてはいないものの、とんでもない【奇跡】が起こった事に『感動』すら覚える一同。



【彼】とのファーストコンタクトから数分後…


パヤオから離れ、障害物はなくなった。
ラインも半分くらい回収できた。


長丁場になる事は十二分に予想できたが、勝機が見えた。






[船長&海狩人]:『大丈夫、獲れる!!






と、叫んだ矢先…。



『驚異のセカンドラン!!




そのスピードたるや、まさに【レーザービーム】である。
煙が出るのではなかろうか!?と思わせるほどの悲鳴を上げるドラグ…
それとは逆に【心地好さ】を思わせるほどの速度でスプールが痩せ細って行く。







[澪]:『駄目ぇ~!!止まらん!!ラインがない!!



[船長]:『大丈夫!!巻いて!!追いかけるから!!









ドスン!!








【彼】のジャンプと同時に[澪]が後方へ舞った。






雌雄は決した。



肩を落とし、無言で先に【生体反応】の無くなったラインを回収する[澪]…。

どうやら若干の抵抗があるらしく、皆は【フックアウト】を想像していたが、ラインを巻き終えてルアーのチェックをし、驚愕の事実に息を飲んだ。



[第七章]に続く…。