年間アルバム 10-1
では最後に、年間アルバムTop10です。
10. ÷ / Ed Sheeran
『+』、『×』共に2位投票でしたが、今回はこの位置どまり。とはいえ、ぜんぜん気に入らなかったわけではなく、前半の「Galway Girl」までの内容は鉄壁だと思っています。後半聴き切れていないのですが、前の2作だって全編気に入っていたわけではなく、むしろアルバム年間を選考したタイミングでの評価の急激な上昇によるものだったので、単にレースの展開次第でここになったというところです。
9. Science Fiction / Brand New
このバンド存在さえ知らなかったのですが、全米初登場1位だったので聴いてみたところ結構ハマりました。グランジ、というかまさにニルヴァーナ的なメロディー・フレーズを使うバンドです。もう少しコンパクトにまとめてくれれば上位進出もありでした。
8. reputation / Taylor Swift
この投票では1位とそれ以外とを互いに繰り返しているため、順番的には今回は1位だったのですが、結果は前作と同じ8位でした。先行シングル「Look What~」でかなり強烈なメッセージを送ってきた割には歌詞としてはそっちの方にそれほど寄っているわけではなく、「End Game」をはじめアルバム前半の数曲に見られる新たなアプローチがなかなか心地よかったです。後半では普通の曲が増えてきますが、最後の「New Year's Day」の空気感を作れるのがさすがテイラーというところ。
7. Automaton / Jamiroquai
なぜかジャミロ。「Virtual Insanity」大ヒットの後イケイケ感になった彼らに引いてた派だったのですが、一回落ち着いて立て直してきた今作は普通にすいすい聴けるアルバムでした。今の黒さではなく彼らならではの黒さと、エレクトロすぎないエレクトロがちょうどいい具合にブレンドされている感じ。
6. 4:44 / JAY-Z
これは意欲作。タイトル曲からして自分の浮気をビヨンセにずっと謝っている曲なのだが、他の曲にしてもここで内容は触れないが、一般的にそのへんのラッパーが歌うような内容とは一線を画しているし、この人の現在いる地位からの上から目線のものというだけのものでもない。そして、サウンドが、No ID一人によるもので(ジェイ・Zの共同プロデュースのものもあるが)、全体が統一されている、しかも36分と短いのが実に私好み。改めてNo IDの手がけた作品を見ると、「Heartless」「Run This Town」「D.O.A. (Death Of Autotune)」など好きな曲かなりありました。余談ですが、グラミーにこの盤がノミネートされたので館山若潮マラソンの目標を「4:44」(4時間44分)にして見事達成できたのもうれしかったです。
5. Evolve / Imagine Dragons
意外な上位進出。初めて聴いた時から印象は良かったですがここまで上位に来るとは…。彼らの持ち味は、最初のヒット「It's Time」よりも「Radioactive」のような和太鼓を叩き鳴らすのが似合いそうな曲でより現れると認識しているのですが、今回はしっかりアルバム全体にわたってそのタイプの曲が並んでいるように思えます。すなわち、和太鼓の音が止まらない(笑)ビリーバー、サンダーの他にもシングル・ヒットしそうな曲は多くありそうですね。
4. Slowdive / Slowdive
ようやく出ました、2017年のキーワードのひとつ、シューゲイザー。といってもこのグループ、以前活動していた頃には存在さえ知らなかったです。フジロックの予習でちょっと予習して(その頃はAWAだったので新作は聴けずかつてのアルバム群から)、その時はよくわからなかったのですが、フジロックの3日目にライヴをじっくり観た時に、ようやく彼らのサウンドというか「聴き方」がわかりました。その後に、Spotifyに変えたこともあって、ようやくこのアルバムに。それでもそこまでピンと来てなかったのですが、アルバム選考の予選に入ってからは、1回戦で1位タイ、シードを含めた2回戦では同じくシューゲイザーのライドを上回る2位と完全ブレイク。見事に2017年の台風の目のひとつになりました。穏やかなれどもなんとも美しい音像がつづれ折られていくというアルバム、ちゃんと盤で聴かなくちゃですね。
3. Hopeless Romantic / Michelle Branch
アルバムとしてはザ・レッカーズから11年、ソロではなんと『Hotel Paper』以来14年ぶりのサード・アルバム。2010年に6曲入りEPを出したものの、その後なかなかアルバムを出すところまで行かずに、レーベルを移籍したこともあってかようやくアルバム完成となりました。この間に、『Hotel Paper』期の頃に若くして結婚した相手と離婚、今回のプロデューサーとなったブラック・キーズのパトリック・カーニーと交際(後に結婚)という大きな動きも起こっています。今回のアルバムの歌詞はほとんどそのあたりの経緯を歌っていると思われ、『Hotel Paper』もかなりの私小説っぷりで、轟々という音が聞こえるようなものだったので、今作も非常に類似した印象があり、その意味で気に入っています。音的にはパトリック・カーニー色がかなり出ており、一聴したらどこに行っちゃったんだろう、と思わせられますが、何回か聴くとしっかりミシェルらしさがにじみ出てくるのが不思議なところです。ヒットには結びつかなかったものの、しっかりサード・アルバムとして歓迎できる内容です。おかえりなさい!
2. Weather Diaries / Ride
こちらはミシェルよりさらに間が空いて、21年ぶりのニュー・アルバム。この人たちの場合、アンディ・ベルがオアシスに「ベースとして」加入し、かなり長い間メンバーとして活動したというのを含むので、事情としてはかなり異なりますね。バンドとして復活し、フジロックでライヴも観たのですが、同様に復活したストーン・ローゼズも新曲作ったのが奇跡くらいのもので、ライドもまさかアルバムまで出るとはそこまで期待していませんでした。さてその期待のアルバムなのですが、良いところは変わってないし、年齢を経て腰が据わったのが味わい的には良くなっているという印象。(ちなみに、私の好きだったライドは『Going Blank Again』~『Carnival Of Light』期で、初期はアルバムとしてそこまでハマっていない)。軸足に置いているのはかつてのライドのロックですが、アルバムを聴きこむと最初聴いたときはピンと来なかったサイケデリック感ある地味な曲がじわじわと良くなってきました。そんなわけで年間2位。やっぱりアルバム部門だとどうしてもロック系が強くなりますね。
1. DAMN. / Kendrick Lamar
と書いたところで、2017年のHIP HOP代表作ともいえるこのアルバム、見事な圧勝でした。昨年ア・トライブ・コールド・クエストが最終戦まで残りながら年間3位、さらにその前だと、エリカ・バドゥがヴァンパイア・ウィークエンドに超僅差の2位になったりしたこともあり土壇場で逆転があるかとも思われたのですが、問題なかったです。アリーヤ、BEPに続いて3作目の黒系アルバム年間1位になりました。「今」のヒップホップの中心の音がガッチリ入った中でケンドリックの冴えまくるライムが炸裂しているのがなんとも爽快すぎます。「Humble.」が真ん中辺にあるからか、そこまでの流れはほとんど頭の中に記憶されてしまっているくらいなのですが、正直後半はそこまで行っていない…とはいえ、それを補ってあまりある圧倒的存在感です。アルバムの曲順を完全に逆にしたヴァージョンがあるようですが、ということはアレで終わってしまうので、それはどうなのかなという感じも。いっぺん聴いてみます。