映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』 | せっつのブログ

映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』

話題のサッチャー映画の試写会に行ってきました。
時代性のある映画として、といっても数十年前の話なのですが、現代に対する何らかのヒントが得られるものがあるかもという期待のもとに、さらに言うと『ソーシャル・ネットワーク』で受けたような感銘を求めていたのですが、それに関しては結構裏切られました。

映画の構成が、現在のサッチャー~認知症になり幻覚を見ることがよくある~が、日々の生活の中から自分の半生を思い出していくというものであり、予想以上に現在の描写が多い。しかも、ほとんどと言っていいくらい亡くなったはずの夫のデニスが側に出てきて話しかける。これは女子的に見てぐっとくるものだったりするのでしょうかねー?また、晩餐会ではちょっと「らしさ」を出したりします。私が最も印象的だったのは医者の検診を受けた時の会話。医者が「どんな感じですか?」と言ったのに対して、

「最近の人は"感じ"を重要視しすぎる。
大事なのは"感じる"ことではなく"考える"こと。父から教わったことだが、
"考えること"は"言葉"につながり、
"言葉"は"行動"につながり、
"行動"は"習慣"につながり、
"習慣"は"人格"につながり、
"人格"は"運命"につながるのです。」

と言ったこと。3.11後だけじゃないと思うけど、すべてがfeelingだけで動いてしまいがちな情勢の中、この言葉は重いです。

全体が短い映画であり、かつ現在のサッチャーに割いた時間が多かったためか、政治家時代の彼女については結構早走りな印象。映画で描かれていた点について簡単にまとめると、

①強大だった労働組合に対決姿勢をとり、財政の再建を目指す。
②テロに対しては断固とした姿勢で臨む。フォークランド戦争もそのひとつの現われ。
③ヨーロッパ連合の動きに同調することに対して懐疑的。
④すべての人に対し税金をかける(新税ということか)。聖域はなし。

最初は政策がうまくいかず全く人気がなかったものの、フォークランド問題に関して強硬的態度をとり、2か月の戦争で大きな犠牲を得ながら勝利を得たことで、それまで落ちるばかりだったイギリスの威信を示すことができ、一気に人気が上昇する。その後経済も持ち直し長期政権となるが、④の問題の時に党内で首相対立候補を立てられ、1回目の投票で過半数を得られず、2回目の投票で敗退する前に自ら辞任する。といったところ。

④に関しては、会議の時に細かい点について延々と責め立てたのが反感を呼び、それが造反につながったということになっているが、この描き方が上記のfeelingそのままの感じで、納得がいきません。後で調べてみると、政策的な方向性の差異だったようですが。

いずれにせよ、自分が思った方向への突き進み方や実行力はすごいです。女性=国会内でのマイノリティーということに基づくパワーを最大限に生かしているようです。「変人」とも称された日本の小泉元首相とも結構共通点が多い気もします。

最後に、メリル・ストリープ。貫禄はありましたが、そこまでは特に感心せず。アカデミーでメーキャップ賞をとってますが、映画の最初の方で観たときはどうも作った感満載で違和感があり、直に慣れました。