俺の会社は建材メーカーだが、材料販売と工事まで行う工事売りの二種類ある。
今日は初めての工事営業で、千葉に住む職人さんの親方と一緒に現場調査に行くことになった。
この親方は通信手段が家電しかないので、住所を電話で連絡し、現場で待ち合わせすることになった。
現場は大田区にあるバスの車庫で、比較的分かりやすい場所だったのだが、親方は迷っていたらしく、結局一時間遅れで到着した。
次の日、親方が突然会社に来た。
「おぅ」と言って事務所に入ってきて、持っていた紙袋に入ったお菓子を女性陣に配りながら俺に近づいてきた。
「お前はこれな」と言って渡されたのは、千葉県と関東の地図だった。
親方は4人の子方がいるのだが、子方と言っても3人が先輩で、みんな60を超えている、しかも物凄く仲が悪いので、仕事の連絡は俺が全員に連絡しろとの事だった。しかも3人が家電しかなく、待ち合わせは地図で伝えろと言って帰った。
こないだ行ったバスの車庫の屋根工事の日時が決まったので、親方に連絡すると、全員に14のDの3の右中のバス車庫と伝えろと言われた。先日渡された地図と同じものを五人が持っているそうだ。
しかも親方はバスの車庫だから住所は伝えなくていいと言っていた。
工事当日、俺が現場に到着すると全員が既に集まっていた。
俺は地図の使い方を初めて知った。
アナログすげー
続く