俺が担当している得意先に、すぐに怒鳴る専務がいて、俺の先輩やライバルメーカーの人達も敬遠して、営業マンが寄り付かない会社がある。


ただこの専務がやり手らしく、かなり仕事を持っているので、何とか注文をもらえるように頑張れと課長に言われた。

自分は怒られるのが嫌で全く行かなかったくせに。


この会社は工事業者さんで、ビルなど住宅以外の内装工事を専門に行っており、

職人さんなどもいたりして、商社や問屋さんとは違う雰囲気だ。


専務が会社にいる時は、みんなピリピリした雰囲気であまり宜しくない。


何度か訪問して、多少話せるようになり、今日あたりは注文もらえるかなと思っていたら、この日は専務しか事務所にいなかった。


訪問するなり、専務「おい、この材料、明日朝イチ現場に入るか?」と言われ、

在庫商品なので、二つ返事で『大丈夫です。』と答えた。

すると「じゃあ発注」と言われた。


俺は専務と一度も話した事がないのに、

いきなり凄い数量を注文されて、少し驚いた。営業って、やっぱりお喋りの上手い下手ではないんだなと思った。


続く