⑥慢性炎症と網膜静脈閉塞症の関係
網膜静脈閉塞症(RVO)と炎症性サイトカインの関係(目のご相談はセノオ薬品へ)1. RVO発症後の炎症反応RVOが起こると、血流が滞り、網膜で虚血(酸素不足)が生じます。これに対して体は様々な防御反応を起こしますが、その中で中心的な役割を果たすのが 炎症性サイトカイン です。2. 主要な炎症性サイトカイン◉ VEGF(血管内皮増殖因子) 虚血状態に反応し、大量に産生される。 新生血管の増殖を促すが、同時に血管透過性を亢進させ、黄斑浮腫の原因に。◉ IL-6(インターロイキン6) 網膜の浮腫・血管透過性を悪化させる。 VEGFと相互作用し、炎症反応を増幅。◉ MCP-1(モノサイトケモタクティックプロテイン-1) 白血球を網膜に引き寄せ、炎症細胞が血管周囲に集まる。◉ TNF-α(腫瘍壊死因子α) 血管内皮を傷害し、血管透過性を亢進。 細胞死(アポトーシス)にも関与。3. 炎症性サイトカインがもたらす悪循環 血流障害 → 虚血 虚血でVEGF・IL-6などが過剰分泌 血管透過性の上昇 → 黄斑浮腫・出血 網膜障害が進行 → さらなる虚血 → サイトカイン増加➡️ 慢性的な炎症・浮腫・視力低下のスパイラルに。4. 治療への応用◉ 抗VEGF療法 例: アフリベルセプト、ラニビズマブ VEGFを抑制し、黄斑浮腫改善・視力保持◉ ステロイド治療 例: デキサメタゾン(ステロイド注射) VEGF以外のIL-6, TNF-αなど広範囲の炎症性サイトカインを抑制 浮腫の改善に有効5. 漢方の視点と炎症性サイトカイン漢方では「瘀血」や「熱毒」「湿熱」といった概念で、これら炎症・浮腫を捉えます。例えば:◎ 黄連解毒湯(おうれんげどくとう) 強い清熱解毒・抗炎症作用 血流障害とともに炎症が強い場合に有効◎ 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう) 自律神経を整え、過剰な交感神経緊張を緩和 → 炎症反応の過剰抑制に◎ 田七人参(でんしちにんじん) 止血しつつ活血化瘀 近年、抗炎症作用・抗サイトカイン作用も注目されています。◎ 白花蛇舌草油 半枝蓮油(アクテリン)6. 研究の進展近年、RVO患者の硝子体液中のIL-6やMCP-1濃度が健常者より有意に高いことが示され、これが浮腫や視力予後に関係するというエビデンスも増えています。まとめ RVOの主因 関与する炎症性サイトカイン 治療法 血流障害・虚血 VEGF, IL-6, MCP-1, TNF-α 抗VEGF薬・ステロイド・漢方(清熱活血)