以前にも言いましたが、私がブルースの沼に入り込んでいった頃は、インターネットも何もない時代でブルースに関する情報を得ることは簡単にはできませんでした。 

 そもそも私は小学校の高学年の時に、第二次ビートルズブームということでビートルズを知り、そのビートルズを通してローリング・ストーンズを知り、そしてこの2つのバンドを通してブルースやリズム&ブルースに興味を持ち、気が付けばその虜になってしまいました。

 ところがその時代においてはブルースやリズム&ブルースの情報を得るということは当時の私にとって非常にハードルが高く、聴きたくても、知りたくてもなかなか思うようにいきませんでした。それこそ七転八倒していました。 

 その時の情報源はラジオ番組と書籍でした。今思えば私は、ブルースの沼に入り込んでいきながら、聞くだけでなく、読むということにもハマっていったのであります。実はそのころに手に入れた、数々のブルースに関する本を今でも時々手に取って、飽きることなく目を通しているのであります。

 それでは少し紹介したいと思います。

 

 

 まずは左の1978年8月に出版された、ポール・オリヴァーの「ブルースの歴史」。多分、私は1993年頃に購入したと思います。「序」から始まり15テーマで構成されています。内容は文章だけでなく、当時の風景やブルースマンたけでなく当時の人々の写真もふんだんに掲載されています。内容を理解するためにはかなりの時間が必要でしたが目でも楽しめる内容です。

 右は2000年に出版された「Urban Blues」。帯には「都市の裏側に息づく人々と、その多様な文化を深く読む。ブラック・カルチャー研究の古典的名著、待望の新訳」とあり、マルコムXから始まり、アフロ・アメリカンからバックステージのB・Bキングを経由してソウル、そしてアーバン・ブルースの複数の選択肢というテーマに繋がっていく内容で、結構読みあげるのに時間がかかりました。

 

 左はマディが表紙になっているこれも2000年に出版されたロバート・パーマーの「DEEP BLUES」。ピーター・バラカン氏が紹介文を書いていますが、内容は前の2冊とは違い、そこまで学問的でなく、ブルースを聞き続けてきたからこそできる、熱意ある説得力を感じることができます。

 右は1980年に出版されたサミュエル・チャーターズの「ブルースの本」。「俺は根っからのブルースマン」という著者がビッグ・ジョー・ウイリアムズ、ライトニン・ホプキンスなと12人の代表的ブルースマンの歌詞や言葉からブルースの姿を見せてくれます。

 

 この2冊は最近されたもの。左の日暮泰文氏の「ブルース百歌一望」は題名の通り100曲100話の物語の書下ろし。それぞれ話にブルースマンと曲名が明記されているので、その曲を聴きながら読むというのが自分なりに悦に入っていました。

 右は中河伸俊氏の「黒い蛇はどこへ」。マディやロバート・ジョンソン、B・Bキングなどの35の名曲の歌詞からブルースの世界を見ていくもの。私が気に入っているのは英詩が和訳されていること。おかげで深くブルースを知ることができます。これはとても楽しいです。

 

 この2冊は超お気に入り。左の「来日ブルースマン全記録」は1971年から2002年に来日した全ブルースマンのライブを完全網羅した1冊。インタビュー・写真・ライブリポート・そして解説があり、よくぞここまでと思ってしまいました。当然、自分が行ったライブもそれなりにあるのですが、日程を含めいろいろな記憶が曖昧になっているところに、この1冊で新たに記憶に残せるという優れものです。ただ、来日自体知らなかった公演や仕事や会場の関係で行けなかったライプもあり、逆に悔しい思いを持つことにもなりました。

 右はタイトル通り「写真集シカゴ・ブルース ~インサイダーの眼~」。解説文はほとんどなく、ほとんどがステージでのブルースマン写真だけで、巻末にそれぞれの写真の覚え書きが記されています。何度みても見飽きないし、楽しい1冊です。

 この2冊はそれぞれ2003年と2001年の出版ですので、今ではなかなか見る事は出来ないかもしれませんが、どこかで見かけたらぜひ手に入れて欲しい本です。

 

 最後の1冊になります。Pヴァインからつい最近出版された「ニッポン人のブルース受容史」これはとてもとてもいいです。日本人がどのようにしてブラックミュージックであるブルースを受け入れてきたかということを、多くのブルースを愛する人たちによって構成されています。私も中学生の時、B・Bキングによってブルースの雷に打たれ、それからブルースの沼に何十年とハマり続けてきましたが、それでも知らないことや新たな事実や発見することがあります。

 よく考えれば、ここまでの編集は相当の労力と知識が必要であったと思います。こんな私が偉そうに言える立場ではないことは重々承知していますが、それでも言わせていただきたいと思った次第です。

 

 ブルースに関する書籍はCDやレコードと同じように、すぐ手に入れる行動をとらないと、あっという間に廃刊になってしまいます。最近はどこのレコードショップにいってもブルースの品揃えがどんどん小さくなっていると思っているのは私だけでしょうか。ブルースファンの私にとっては気になることですし寂しいことです。