前回の理論編に引き続き、GDPについてまとめます。経済指標の読み取りの究極的な目標は未来予測ですが、そのためには現状把握が必要不可欠です。GDPは総合的な指標ですので、今回は、経済の現状を知って長期的な趨勢や方向性を見るために読み取りをするということにします。

 

特徴

・日本のGDP統計は内閣府経済社会総合研究所のサイトで閲覧できる。

・速報が四半期ごとに、確報はその1か月後に発表される。

・一国の経済活動の規模を指すので、経済全体を俯瞰するための指標としては重要が高いといえる。

・景気循環との連動性も高く、寄与度を考えることでより細かい局面把握ができる。

・大規模に長い期間調査が行われるため、データの信頼度や現実とのデータの乖離、ボラティリティも小さい。

 

ポイント

・名目値と実質値:実質値はインフレ率を考慮した値

・成長率:前期比、もしくは前年比と潜在成長率(期待される成長率)との比較で景気の加速度を測ることができる。

・内訳;Y=C+I+G+NXで言うところの、C:民間最終消費支出、G:政府最終消費支出、NX:輸入-輸出、I:設備投資(ざっくり)

寄与度(=構成比*変動率)が大きいところが成長率の変動に大きくかかわることになり重要度が高い。

・最終需要:在庫を除いたGDPのこと。在庫投資は企業の将来予測の結果とみると、景気に対する先行性があるといえる。(ex:在庫の増加が加速していくのなら、見込みよりも売れ行きが悪く景気の先行き不安がある。)

 

 

実際の読み取り

国民経済計算 2021年度(令和3年度)国民経済計算年次推計 フロー編を見ます。

まず、1ページ目の支出ベースのGDP(GDE)からです。構成比に変動率を掛けた値の寄与度、図1-3実質GDP成長率に対する需要項目別寄与度を見るといくつか考えられることがあります。

・民間最終消費支出は寄与度が大きい傾向にあり、成長率と正の相関の関係

・民間と比較して、公的な支出は例年寄与度が小さく、ボラティリティも小さい

・輸入の寄与度は成長率と負の相関

・民間企業設備の寄与度のボラティリティは大きく、成長率に対して先行性がありそう

・成長率は令和2年度に-4.1%の大きな下落を演じ3年度には2.51%の成長

(1.000*0.961*1.025=0.985→令和1と比較すると令和3年では0.985倍の水準となる。成長率がマイナスの後にプラスになったからと言って水準がプラスとは限らないことに注意すべき。例えば、-50%の次の年が+50%なら、2年前と比べて75%の水準となる。)

 

17ページ主要国のドル建て名目GDPの推移を見ると

・日本の一人当たりGDP (ドル)の順位は下落傾向にある

・世界に占めるGDP比の下落の速さがほかの先進国に比べ大きい。

 →高齢化の進むイタリア、フランスと比較しても速い。

 

読み取れることと考えられること、理科で言うところの結果を考察をごっちゃにして書いているのでわかりにくいですね。気を付けます。取り敢えず自分で箇条書きにして、気が付いたところをまとめたので、政府や総研系のレポートと見比べてみます。ほかのレポートとの比較は著作権的に面倒なので公開しません。

 

経済指標の読み取りを始めて間もないので、洞察が浅かったり間違いもあると思いますが、ほかの指標も勉強してより深く考えられるようになったらまたGDPについて取り上げようと思います。

 

次回は景気動向指数です。