所得税 | 宅地建物取引主任者試験の独学合格法

所得税

今回は「所得税」についてお話いたします。

出題されない年はないのですごく重要なのですが、正直難しいです。
完璧にマスターしようと思ったら膨大な時間と労力を要するでしょう。

前にも申し上げましたが、所得税に多くの時間と労力を割くのなら、
その時間を宅建業法や法令制限の単純暗記に充てた方が有意義です。

深追いしたらキリがありませんので、
最低限これだけは覚えておいて欲しい事項をまとめておきます。

うまくいけばズバリ正解できると思います。
ズバリとはいかなくても2択くらいに絞れると思います。

正解できればラッキー、落としても仕方ないというスタンスでいきましょう。


では順番に見ていきます!



■所得税とは

所得税とは、個人の所得に対して課せられる税金で、宅建試験で出題されるのは不動産を
譲渡した場合に生じる譲渡所得です。

不動産を譲渡すると、元々の買値とその売値との間に差益または差損が生じますね。

差益(=譲渡所得)に対して所得税が課され、これが宅建試験で問題となるわけです。

ちなみに差損(=譲渡損失)に対しては所得税は課されません。



■不動産取得税の概要

1.課税主体:国

2.課税客体:土地や建物等の譲渡所得

3.納税義務者:土地や建物等を譲渡した個人

4.課税標準:特例を下で

5.税率:特例を下で

6.納付税額:特例を下で

7.税額控除:特例を下で

8.納付方法:申告納税方式(所轄税務署へ確定申告)



■譲渡所得の特例

譲渡所得には、「課税標準」「税率」「税額」それぞれに、更に「所有期間不問」
「所有期間5年超」「所有期間10年超」という期間ごとに特例があります。

1.課税標準

所有期間不問:3,000万円特別控除、5,000万円特別控除、課税の繰延べ
所有期間5年超: -
所有期間10年超:買換え特例

2.税率

所有期間不問:短期税率
所有期間5年超:長期税率、優良住宅地の軽減税率
所有期間10年超:居住用財産の軽減税率

3.税額

所有期間不問:住宅ローン控除
所有期間5年超:住宅ローン控除
所有期間10年超:住宅ローン控除


以下、よく本試験で狙われる重要な特例をかんたんに説明していきます。



■3,000万円特別控除の特例

譲渡所得から3,000万円を控除した所得を課税対象とする特例です。

3,000万円特別控除の要件

1.居住用財産であること

居住用財産とは、現に住んでいる居住用家屋やその敷地、以前に住んでいたが住まなくな
ってから3年目の年末までに譲渡した居住用家屋やその敷地をいいます。


2.配偶者や直系血族、譲渡後にその家屋に同居する親族等への譲渡ではないこと

3.前年または前々年に3,000万円控除を受けていないこと(この特例は3年に1回)

4.本年、前年、前々年に居住用財産の買換え特例を受けていないこと


3,000万円控除は所有期間不問であること、配偶者等に譲渡した場合は適用されないこと、
買換え特例とは選択適用であることは必ず覚えておいてください。



■買換え特例

譲渡資産の譲渡価額(収入金額)が買換資産の取得価額(購入価額)以下の場合には資産
の譲渡はなかったものとして課税を行わず、収入金額が取得価額を超える場合に、その超
えた部分についてのみ譲渡があったものとして課税を行うという特例です。

買換え特例には「相続等の買換え特例」と「特定の買換え特例」の2つがありましたが、
昨年の法改正で1つに絞られ覚えやすくなりました。

買換え特例の要件

1.所有期間が10年超であること

2.居住期間が10年以上であること

3.配偶者や直系血族等への譲渡ではないこと

4.買換え資産の家屋の面積50㎡以上、敷地面積500㎡以下であること

5.買換え資産が中古の耐火建築物である場合は、築25年以内であること
  (一定の耐震基準に適合している場合は25年超でも可)


特に4番の家屋の面積ですが、昨年の法改正により「50㎡以上280㎡以下」だったのが
上限が廃止され「50㎡以上」となりましたのでご注意ください。

5番の築25年超も可の要件は耐火基準ではなく耐震基準に適合ですのでここも注意です。



■5,000万円特別控除の特例

譲渡所得から5,000万円を控除した所得を課税対象とする特例です。

譲渡資産は所有期間に関係なく収用等の起業者に対し譲渡されたものが対象となります。
収用等とは土地収用法、都市計画法等により買収された場合をいいます。

ここは特に深追い不要ですが…「5,000万円特別控除と優良住宅地の軽減税率は重複適用
不可」「5,000万円特別控除と居住用財産の軽減税率は重複適用可能」は覚えておいてもいい
かもしれません。

ちなみに収用関連で「収用等の代替資産の買換え特例」というものがあるのですが、
こちらは居住用財産の軽減税率と重複適用不可です。(かなり細かいですが)



■軽減税率の特例

1.短期税率(5年以下):30%(+住民税9%=39%)

2.長期税率(5年超):15%(+住民税5%=20%)


3.優良住宅地の軽減税率

「優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」です。

所有期間5年超の土地等を昭和62年10月1日~平成25年12月31日の間に優良住宅地の
ために譲渡(国・地方公共団体や収用の起業者等へ)する場合、以下の軽減税率が適用
されます。

譲渡所得2,000万円以下の部分 10%(+住民税4%=14%)
譲渡所得2,000万円超の部分 15%(+住民税5%=20%)

3,000万円特別控除、買換え特例、5,000万円特別控除、居住用財産の軽減税率などなど、
その他の特例の適用を受ける者は優良住宅地の軽減税率の特例を受けることはできません。


4.居住用財産の軽減税率

所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合、3,000万円控除後の譲渡所得に対して、
以下の軽減税率が適用されます。

譲渡所得6,000万円以下の部分 10%(+住民税4%=14%)
譲渡所得6,000万円超の部分 15%(+住民税5%=20%)

家屋、敷地ともに10年超所有の場合に適用され、更に3,000万円特別控除後の所得に
対して適用されるという点にご注意ください。

また、3,000万円特別控除同様、配偶者などへの内部的取引には適用されません。

更に、買換え特例と重複適用できないという点は覚えておいてください。



■住宅ローン控除

10年以上のローンを組んで居住用の土地建物(土地とともに取得)を取得した場合、
10年間に渡って毎年の所得税から一定額が控除されるのが住宅ローン控除です。

ここで注意していただきたいのは、従来の10年に加えて、昨年新たに15年間所得税が
控除される制度が新設されたことです。

以下、平成16年~平成20年居住分(新設は平成19年~平成20年居住分)の例

控除期間 従来:10年間 新設:15年間

控除率 従来:1%(1~6年目)0.5%(7~10年目)
      新設:0.6%(1~10年目)0.4%(11~15年目)

最大控除額 従来:200万円 新設:200万円

ローン残高 従来:2,500万円 新設:2,500万円

10年かけて200万円控除してもらうか、15年かけて200万円控除してもらうか、
控除される金額の最大額は同じですのでご注意ください。(ローン残高限度額も同じ)


住宅ローン控除の適用要件

1.10年以上の住宅ローンによって住宅(敷地含む)を取得、新築などをすること

2.控除を受けようとする個人の年間所得が3,000万円以下であること

3.家屋の床面積が50㎡以上であること

4.既存住宅取得の場合は、築後20年以内(耐火建築物は25年以内)または地震に対す
  る安全上必要な構造方法に関する技術的基準に適合されたものであること


親族や友人からの個人的借入では適用されませんのでご注意ください。

居住年またはその前年、前々年に3,000万円控除や居住用財産の軽減税率、
買換え特例などを受けている場合も適用されません。

しかし「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除」という特例
との併用適用は認められていますので頭の片隅に入れておいてください。



■バリアフリー改修促進税

こちらも昨年新設された制度ですので一応覚えておいてください。

バリアフリー改修工事を含む増改築工事を行った場合、それから5年間に渡って毎年の
所得税から一定額が控除されます。

控除期間:5年
控除率:1%(うちバリアフリー改修工事2%)
最大控除額:12万円(うちバリアフリー改修工事4万円)
ローン残高:1,000万円(うちバリアフリー改修工事200万円)

最大控除額が5年間で合計60万円、バリアフリー改修工事にかかる上限のローン残高最高
額が200万円という点が出題されるような…怪しい気がします。


バリアフリー改修工事促進税の適用要件

1.50歳以上の者、65歳以上の者と同居している親族、要介護・要支援の認定を受けて
  いる者(同居の親族も)、障害者である者(同居の親族も)

2.改修工事費用から補助金等を除いた費用が30万円を超えていること

3.バリアフリー改修工事を含む増改築床面積が50㎡以上であること



以上、所得税について最低限覚えておいてほしい事項をまとめてみました。
(と言ってもだいぶ長くなってしまいましたが…)

もしも、まだまだ物足りない!
という方がいましたら本屋さんへ行って分厚いテキストを立ち読みしてみてください。

たぶんイヤになると思いますが…。

これだけ覚えておけばある程度消去法で対応できると思いますので頑張ってください!




[ 平成6年 問29 ]  居住用財産を譲渡した場合における譲渡所得の所得税の課税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.居住の用に供している家屋をその者の長男に譲渡した場合には、その長男がその者と生計を一にしているか否かに関係なく、その譲渡について、居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用を受けることができない。

2.居住の用に供していた家屋をその者が居住の用に供さなくなった日から2年を経過する日の翌日に譲渡した場合には、その譲渡について、居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用を受けることができない。

3.譲渡した年の1月1日における所有期間が7年である居住用財産を国に譲渡した場合には、その譲渡について、居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の適用を受けることができる。

4.譲渡した年の1月1日における居住期間が11年である居住用財産を譲渡した場合には、所有期間に関係なく、その譲渡について、居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例を適用を受けることができる。


1 正:居住用財産の譲渡所得の特別控除とは3,000万円特別控除のことです
2 誤:3,000万円特別控除は「3年を経過する日の属する年の12月31」日」までに譲渡
3 誤:居住用財産の軽減税率は所有期間10年超
4 誤:3番と同様、所有期間が10年を超えていることが必要



[ 平成8年 問28 ]  居住用財産を譲渡した場合における譲渡所得の所得税の課税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1.譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超える居住用財産を譲渡した場合には、居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の適用を受けることができる。

2.譲渡した年の1月1日において所有期間が10年を超える居住用財産を譲渡した場合であっても、居住用財産の譲渡所得の 3,000万円特別控除の適用を受けるときには、居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の適用を受けることはできない。

3.居住用財産を譲渡した場合に、その譲渡所得が短期譲渡所得の課税の特例の適用を受けるものであるときには、居住用財産の 3,000万円特別控除の適用を受けることはできない。

4.居住用財産を譲渡した場合に、特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用を受けるときには、居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の適用を受けることはできない。


1 誤:居住用財産の軽減税率は所有期間10年超
2 誤:3,000万円控除→居住用財産の軽減税率なので重複適用可
3 誤:3,000万円控除は所有期間の制限がないので短期長期に関わらず適用される
4 正:居住用財産の軽減税率と買換え特例は重複適用はされない