労働市場が少しずつ回復する中で、取り残されている派遣会社が生き残りを図る為の各社の取り組みを発表する会合での出来事である。

当日は2社の取り組みが発表されるのだが、1社目の発表は老年の紳士で肩書きは、とあるグループの子会社の社長だそうだ。
良いか悪いかは別として改正される派遣法の行方を見ながら、大筋各党が合意しそうな部分で違法化されそうな部分での請負化の可能性を勉強会や業務の改善、取引の見直しなどで対応しようとする正攻法で取り組んでおられるそうで、50社程の参加企業担当者も一様に頷ける内容であった。

2社目の発表は、初めから胡散臭い雰囲気が発表者が登壇する時から漂っていた。
プレゼンターの兄ちゃんは、私と同じく(苦笑)・・『元栗』で何か変な事言いそうな匂いがプンプンしていたが、
実は大手広告代理店出身なのだそうだ・・・
何か解った解らないようなニュアンスをボカした事ばかり言うので前半の内容は今となっては全く記憶に無いのだが、
後半にココではさすがにリアルに書く事を控えるが、思いっきり違法な事を自慢げに言ってのけたので、驚いてしまった。派遣法云々などと言う生易しいモノではなく明らかに詐欺行為とも言える内容で、後日元同僚にも聞いてもらったのだが、飲みかけのビールを吹きかけられそうになるほど大笑いされてしまった程である。

途中中だるみはあったモノの悪気の無い自慢げな笑みと共に衝撃的な発表が後半行われたおかげで、我に帰るのにしばらく休んでいたところ、1社目発表があった企業の若手(と言っても30半ばから40過ぎ)のスタッフが、自分の客とのやり取りを相談している会話を私の目の前でその二人が話し始めた。
A:『・・・・○○印刷からさぁ・・個別契約書出せって言われたんだけどお前個別契約書って何か解るか』
B:『個別・・・・・そんなの聞いたことねぇよ。基本契約書があるんだったらそれでいいじゃね・・・』

個別契約書無しで派遣していると言うか、おそらくペラッペラの請負契約書1枚で偽装派遣しているパターン見え見えで、そう言う事の違法性を感じずに今までやって来ているような感じの会話で、良くもまぁ1社目の社長さんもヌケヌケと社員教育に注力してると言い切るものだ・・・・と、そばにあったソファーに埋まりそうな脱力感を味わってしまったのです。

そう言う連中が、これまたヌケヌケと雇用が縮小する中で就業機会を与えている我々が正義だ!などと言うのものだから、バッシングされるのであって彼らと同じ空気を吸って居た私も恥ずかしく思った。
経済環境や労働現場の変化の波に確かに法律は遅れ気味であったし、現行法が全てをカバーしきれていない事も事実ではあるが、今まで良かった事が一旦否定された以上は、これからも法整備が遅れている等と言い訳をしながら操業する事がイイとは私は思わないし、法に規定がなくてもモラル高い運営を行うべきではないか。

社会から理解を得るためには、自らを律し後ろ指さされないような行動をして行かなければならないと改めて感じさせられた。