御園座の油屋に行ってきました。





実は他の日に行こうと思っていたのだけど、なかなか希望日のチケットは取れず。
一般でなんとかして取ったのが、このキャストの日のチケットでした。

でも、観ることができただけで大満足。
(最後に書きますが、御園座の公演は一部中止になってしまいましたね……)


※映画ありきなので物語のネタバレというよりは演出のネタバレしております



私は子どもの頃にこの作品をリアルタイムで観て、DVDでもたまに見返していたけれど、この舞台は、観るだけで各シーンがちゃんと蘇ってきたし、次に何の台詞がくるかもだいたい分かる。

そんな状態で観たからか、再現度の高さにまず感動。

このシーンはこうやってやるのか〜!
あのシーン、ちゃんと舞台でもやってくれた〜!
みたいなシーンがたっぷり。


でももちろん、舞台化するからには、舞台ならではの良さも光ります。

セットと生オケ。
もう、これだけで作品の世界へ入りこんでしまいましたね。

セットは盆の回転を効果的に使ってあったし、扉を一人一枚ずつ持って動かしながら躍動感を出しているような見せ方も見事でした。
敢えてアナログに、裏方が動かしているのを見せる演出。
それなのに、なんだか魔法がかかったような感覚になる。
ジョン・ケアードらしさを感じました。


アンサンブルの皆さんも見事で、久しぶりに可知さん拝見できたのも嬉しかったです!
まろまゆの女になったかと思いきや、あじさいになったり、ススワタリになったり(操ったり)。

そうそう、ススワタリたちがかわいかった!
あんなふうに表現するんだなぁって。
人が動かしているのに、ちゃんとススワタリ自身が動いているように見える。



再現度の高さは、キャストそれぞれに当てはまります。

私、ゆうみちゃんが好きなのでリンはゆうみちゃんで観たいな〜と思っていたのだけど、はじめて妃海風さんを拝見して、妃海さんのリンにめちゃくちゃ惹かれてしまいました。
だって、リンそのまんまなんだもん!!!

あのドスの効いた声も、たらい舟を漕ぐときの漕ぎ方に至るまで、完全にリンそのもの!
劇中で最初にリンが発する「メシだよー!」の声を聞いただけで、
リンだー!!!
と、大興奮しておりました。
映像からそのまま立体で飛び出してきたような、妃海さんのリン。
千尋のお母さん役でもありますが、印象が違っていて最初気付かなかった……!


役そのまんまなのは、ハクも!
醍醐さんもはじめて拝見したのですが、儚げながらも強く、凛々しいハク像がピッタリ!
ハクが本当にそこにいました……。
顔も声も良い……。


湯婆婆、朴璐美さんは個人的に2019年のレミゼぶりでしょうか。
夏木マリさんがオリジナル声優さんではありますが、朴さんならではの湯婆婆像を、キャラはそのままながら、ちゃんとご自分のものにされているなぁと思いました!
坊に対する態度の変わりっぷりとかはお茶目だし、迫力も満点。

銭婆のシーンを観たとき、湯婆婆よりも怖い!と思ったのだけど、ここは映画よりも舞台のほうが、銭婆のキャラを深掘りされていたのかな?
なんてことも思いました。
一人二役だからこその、キャラの違いがおもしろかったです。


釜爺の田口トモロヲさん、ユーモアのある釜爺で、えんがちょのシーンとか、「愛だよ、愛」のシーンとか、クスッとさせられる面白さがありましたね。
アンサンブルさんの動かす釜爺の腕もすごい!!


カオナシの表現力もすごい!
って、さっきから「すごい」連発してしてますが、本当にすごいんですもの!
するする〜っと移動する様から、段々と大きくなって豪快になる様まで、変幻自在。
辻本さんの動きに加えて、大きくなった時の周りの手や肉体が、映画とは違った迫力を生み出していました。
ここでもアンサンブルさんの活躍が光る!


そして、主演の橋本環奈さん。
環奈ちゃん、まじで小学生だった……
千尋の仕草とか声色とかも、そのまんまぶつけて千尋になっていったんだろうなって。
おにぎり食べて泣くシーンとかこっちまで感情揺さぶられたよ😭

御園座がツアーの最終地ではあるけども、初舞台とは思えないほど、等身大の千尋を生きていました。
感情移入もしやすかったです。



ミュージカルではないけれど、一部歌がありましたね。
実際に映画で流れていたものもあり、世界観そのまんま!


演出のすごさは他にもたくさん。
河の神様がびゅんびゅん舞っていくシーン、なんと、最後は2階席の頭上まで飛んできた!!
2階席で良かったです!
臨場感すごい!


銭婆の家でのシーンも、「これ見たかった!」ってのがちゃんと再現されててほっこり。
ランプも片足立ちしてて、すごい体幹だなぁ……。


私、大人になってから映画を見返して泣いたシーンが、ハクが千尋から本当の名前を言ってもらうあのシーンなんですけどね、舞台でもグッときちゃいましたね。


カテコでも皆さん楽しそうで、作品への愛、舞台への愛が感じられました。
釜爺の「愛だよ、愛」は、意外と核心を突く台詞だったのかなぁと、舞台を拝見したからこそ思うのでした。



ここまで書いていたら、なんと、公演中止のお知らせが……。



周りで観劇予定の方もたくさんいらっしゃるので、仕方のないこととはいえ、本当につらいです……。
この先の日程や、大千穐楽はそれぞれ配信があるので、どうか無事に再開できますようにと願います。



千尋にかけられたまじないが、我々の世界でも、良い方向にかかってくれますように。