2015年4月3日、午前9時20分。
薄曇りで時々小雨がポツポツとまじる中、最寄りの大井町駅から40分。日吉駅に到着しました。
まだ桜の花はなんとかもっています。
これから慶應義塾大学日吉記念館に向かいます。
入学式は10時スタートです。
校門をくぐるとそこはスーツ姿の学生たち、そして同伴されているであろう保護者たちの姿で溢れかえっていました。社会人大学院生の私は、新卒の皆さんが着用している真っ黒のリクルートタイプのスーツではなく、クリーム色のスーツ。どう見てもこれは保護者だよね……(苦笑)。
日吉記念館の前にそびえ立つ「平成27年度 慶應義塾大学大学院入学式式場」の看板の前では、すでに記念写真を撮る人たちで順番待ちの行列を作っていました。この記念館は「かなり古い建物だな~」と思って、のちほどネットで調べてみました。
→[ステンドグラス] 日吉キャンパスの歴史
http://www.keio.ac.jp/ja/contents/stained_glass/1998/212.html
日吉校舎自体は昭和9年に開校で、記念館は昭和33年竣工……ということは56年が経過しているのですね。ここで今まで数々の式典が行われ、その歴史を刻む1ページに参加させてもらえたことを考えると、思わずグッときました。
そして自分がここにいることが、今でもとても不思議な気がしています。
昨年2014年の5月の連休明けに、高血圧、糖尿病、脳梗塞を発症しました。右半身が麻痺し、2週間寝たきりで動くことができませんでした。体が思い通りに動かなくなった事実を、ショックでなかなか受け止めることができませんでした。
発症から1ヶ月目は、歩くことが目標でした。
そして食生活を徹底的に見直しました。炭水化物の摂取量を減らし、ご飯はお茶椀7分目に。大好きだったスイーツやお酒も一切摂らないようにしました。また野菜類をふんだんに摂るように心がけました。
2ヶ月目は電車に乗ることが目標でした。
この頃から水中ウォーキングを始め、脚の筋力を鍛えようと思いました。
発症以来初めて電車に乗ったときは、階段を猛ダッシュで昇降してくる人にぶつかるのがコワくて、ずっと駅の手すりにつかまりながら歩いていました。また階段一段一段を登るのもやっとのことで、「階段ってなんて高いのだろう」と思いました。電車に乗るまでにすっかり疲れてしまったことが、昨日のことのように思い出されます。
3ヶ月目は出張に行くことが目標でした。
ベストコンディションではなかったのですが、地域活性学会での発表のために網走へ行くことができました。ただし発症以来、初めての飛行機搭乗は、やはりハラハラドキドキしました。搭乗自体に問題がありませんでしたが、発表当日の数時間前に低血糖の発作を起こし、眩暈に襲われ、冷や汗がしたたり落ちてきて、事務室で30分横にならせていただきました。それでも発表10分前になんとか体調が戻って、無事発表を終らせました。これもかつてない手に汗を握る経験でした。
そしてそこで、出身校の法政大学大学院政策創造研究科修士課程でお世話になった先生から、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(以下慶應SDM)の前野隆司研究科長をご紹介していただきました。
実はその1ヶ月くらい前に偶然、書店で見つけ、「面白そうだな」と手にとったのが『システム×デザイン思考で世界を変える 慶應SDM「イノベーションのつくり方」』(前野隆司・保井俊之・白坂成功・富田欣和・石橋金徳・岩田 徹・八木田寛之 日経BP社 2014)。慶應SDMの講義の一端を垣間見る書籍を読んだ直後に、前野先生にお会いしたのです。
私は学会終了後、前野先生の研究室へお伺いして、今後の研究のこと、病気を抱えた現状のこと等をご相談しました。
その時、前野先生は「幸福学」の研究者として著名な方だったことを知りました。
重篤な病気を抱えていた私は、これからの自分の行く末に暗澹たる思いを抱えていました
そんな時に出会った「幸福学」というキーワード。その中に一条の光明を見出しました。
その後、前野先生のご著者である『幸せのメカニズム 実践・幸福学入門』 (講談社現代新書 2013)、『思考脳力のつくり方 仕事と人生を革新する四つの思考法』 (角川oneテーマ21 2010) 、『脳はなぜ「心」を作ったのか「私」の謎を解く受動意識仮説』 (ちくま文庫 2010)を続けて拝読しました。
その結果、「この先生の研究室に入らせていただきたい!」と強く決意するに至りました。
そして4ヶ月目から勉強を始めました。
私の場合、脳梗塞を患いましたから、確実に脳細胞の部位が死滅しています。一度死滅した脳細胞は蘇ることはありません。しかし脳はどこかが効かなくなったとき、別の部位がその代わりをしようと働きはじめるようです。だったら継続的に脳のトレーニングをしていく環境に自分を置こうと思いました。そこで博士過程の受験を考えたのです。
発症から6ヶ月経った10月21日。慶應SDM後期博士課程に合格しました。
2014年の前半、生まれて初めて命が有限であることを意識しました。
自分の体がまったく思うように動かない苛立ち。それまで病気らしい病気をしたことがなかったため、本当に骨身にしみる辛い体験でした。それでも生きることを諦めない強い気持ちがありました。
あれから10ヶ月――。
1ヶ月ごとの短期目標をクリアして、ようやくここまで来ることができました。
万感の思いで開いた慶應SDMの扉。
入学式後に、協生館2Fの慶應グッズの販売店で記念にロゴ入りのボールペンを1本購入しました。
これからこのボールペンを使って、研究を続けやがては博士の学位を取得できることを夢見て。
#慶應SDM #社会人大学院 #幸福学 #システム×デザイン思考
薄曇りで時々小雨がポツポツとまじる中、最寄りの大井町駅から40分。日吉駅に到着しました。
まだ桜の花はなんとかもっています。
これから慶應義塾大学日吉記念館に向かいます。
入学式は10時スタートです。
校門をくぐるとそこはスーツ姿の学生たち、そして同伴されているであろう保護者たちの姿で溢れかえっていました。社会人大学院生の私は、新卒の皆さんが着用している真っ黒のリクルートタイプのスーツではなく、クリーム色のスーツ。どう見てもこれは保護者だよね……(苦笑)。
日吉記念館の前にそびえ立つ「平成27年度 慶應義塾大学大学院入学式式場」の看板の前では、すでに記念写真を撮る人たちで順番待ちの行列を作っていました。この記念館は「かなり古い建物だな~」と思って、のちほどネットで調べてみました。
→[ステンドグラス] 日吉キャンパスの歴史
http://www.keio.ac.jp/ja/contents/stained_glass/1998/212.html
日吉校舎自体は昭和9年に開校で、記念館は昭和33年竣工……ということは56年が経過しているのですね。ここで今まで数々の式典が行われ、その歴史を刻む1ページに参加させてもらえたことを考えると、思わずグッときました。
そして自分がここにいることが、今でもとても不思議な気がしています。
昨年2014年の5月の連休明けに、高血圧、糖尿病、脳梗塞を発症しました。右半身が麻痺し、2週間寝たきりで動くことができませんでした。体が思い通りに動かなくなった事実を、ショックでなかなか受け止めることができませんでした。
発症から1ヶ月目は、歩くことが目標でした。
そして食生活を徹底的に見直しました。炭水化物の摂取量を減らし、ご飯はお茶椀7分目に。大好きだったスイーツやお酒も一切摂らないようにしました。また野菜類をふんだんに摂るように心がけました。
2ヶ月目は電車に乗ることが目標でした。
この頃から水中ウォーキングを始め、脚の筋力を鍛えようと思いました。
発症以来初めて電車に乗ったときは、階段を猛ダッシュで昇降してくる人にぶつかるのがコワくて、ずっと駅の手すりにつかまりながら歩いていました。また階段一段一段を登るのもやっとのことで、「階段ってなんて高いのだろう」と思いました。電車に乗るまでにすっかり疲れてしまったことが、昨日のことのように思い出されます。
3ヶ月目は出張に行くことが目標でした。
ベストコンディションではなかったのですが、地域活性学会での発表のために網走へ行くことができました。ただし発症以来、初めての飛行機搭乗は、やはりハラハラドキドキしました。搭乗自体に問題がありませんでしたが、発表当日の数時間前に低血糖の発作を起こし、眩暈に襲われ、冷や汗がしたたり落ちてきて、事務室で30分横にならせていただきました。それでも発表10分前になんとか体調が戻って、無事発表を終らせました。これもかつてない手に汗を握る経験でした。
そしてそこで、出身校の法政大学大学院政策創造研究科修士課程でお世話になった先生から、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(以下慶應SDM)の前野隆司研究科長をご紹介していただきました。
実はその1ヶ月くらい前に偶然、書店で見つけ、「面白そうだな」と手にとったのが『システム×デザイン思考で世界を変える 慶應SDM「イノベーションのつくり方」』(前野隆司・保井俊之・白坂成功・富田欣和・石橋金徳・岩田 徹・八木田寛之 日経BP社 2014)。慶應SDMの講義の一端を垣間見る書籍を読んだ直後に、前野先生にお会いしたのです。
私は学会終了後、前野先生の研究室へお伺いして、今後の研究のこと、病気を抱えた現状のこと等をご相談しました。
その時、前野先生は「幸福学」の研究者として著名な方だったことを知りました。
重篤な病気を抱えていた私は、これからの自分の行く末に暗澹たる思いを抱えていました
そんな時に出会った「幸福学」というキーワード。その中に一条の光明を見出しました。
その後、前野先生のご著者である『幸せのメカニズム 実践・幸福学入門』 (講談社現代新書 2013)、『思考脳力のつくり方 仕事と人生を革新する四つの思考法』 (角川oneテーマ21 2010) 、『脳はなぜ「心」を作ったのか「私」の謎を解く受動意識仮説』 (ちくま文庫 2010)を続けて拝読しました。
その結果、「この先生の研究室に入らせていただきたい!」と強く決意するに至りました。
そして4ヶ月目から勉強を始めました。
私の場合、脳梗塞を患いましたから、確実に脳細胞の部位が死滅しています。一度死滅した脳細胞は蘇ることはありません。しかし脳はどこかが効かなくなったとき、別の部位がその代わりをしようと働きはじめるようです。だったら継続的に脳のトレーニングをしていく環境に自分を置こうと思いました。そこで博士過程の受験を考えたのです。
発症から6ヶ月経った10月21日。慶應SDM後期博士課程に合格しました。
2014年の前半、生まれて初めて命が有限であることを意識しました。
自分の体がまったく思うように動かない苛立ち。それまで病気らしい病気をしたことがなかったため、本当に骨身にしみる辛い体験でした。それでも生きることを諦めない強い気持ちがありました。
あれから10ヶ月――。
1ヶ月ごとの短期目標をクリアして、ようやくここまで来ることができました。
万感の思いで開いた慶應SDMの扉。
入学式後に、協生館2Fの慶應グッズの販売店で記念にロゴ入りのボールペンを1本購入しました。
これからこのボールペンを使って、研究を続けやがては博士の学位を取得できることを夢見て。
#慶應SDM #社会人大学院 #幸福学 #システム×デザイン思考

