街を歩けば、けっこう多くの新築現場を見かけます。
一方で住まわれている様子のない空き家もけっこう見かけます。
今全国で空き家問題が深刻化しています。
2013年の総務省の調査では、総住宅数6063万戸に対し空き家は820万戸、空き家率13.5%という多さです。
空き家は地方の問題だけではありません。東京都だけでも81万戸以上もあるのです。
しかも今後の高齢世帯の増加とその後の減少過程で、ますます空き家が増加することは容易に想像できます。
15年後には空き家が2000万戸、空き家率が30%に達するという見通し(週間エコノミスト)も出ています。
もはやこれは異常と言わざるを得ません。
放置された空き家は、さまざまな公害の元になります。倒壊の危険性、ゴミの不法投棄(悪臭)、火災、景観問題などなど。
一方で人口減少が進むにも関わらず、新築住宅が次々と建てられています。
これは、住宅建設が景気刺激策として政策的に促進されていることが大きな原因です。
住宅新築では建設工事関連のみならず、家具などの購入による消費が増え、また住宅ローンの利用によって銀行も潤うなど、幅ひろく景気にプラス効果をもたらすからです。
また日本では中古住宅は評価の劣化が早く、住宅ローンも組みにくいため、新築に比べ人気がありません。
結果として空き家が増え続けているのです。
政府も空き家法を改正したり民泊を解禁したりと、いろいろ手を打っていますが、焼け石に水のような感じがします。
もし仮に、現在ある空き家とこれから生まれる空き家を全部解体処分すれば、どれほどの産業廃棄物が産まれ、どれほどの環境汚染につながるのでしょうか。
日本では木造家屋が中心のため家の寿命も短く、次々と建て替えるのが当たり前と思われてきました。
しかし環境問題を考えると、この発想は変えていかなければならないのではないでしょうか?
日本の住宅政策をもっと持続可能なものに変えていく必要があると思うのですが。
SD爺さん