家庭菜園を始めて一年半、Youtubeのお陰もあって以前は知らなかった事を沢山知る様になり、植物だけでなく世界をを見る目が大きく変わった。
思い付くものから書き出している3回目。

 

 

 

⑤ 温暖化 炭素固定の事:
微生物のエサとして投入された有機物の中で分解し難い物は、アルミや鉄と結合し腐植として土中に残る。腐植の元となる有機物は炭素を含んでいるので、腐植が増えれば土の中に炭素が多く固定され、その分だけ空気中のCO2が減少する。又微生物は其れ自体の構成元素として炭素を含んでいるので、微生物が増えれば炭素が多く土中に固定される。

一方化成肥料は無機物なので微生物のエサにはならず微生物は死んでいくので、炭素固定は起こらず寧ろ減少する。化成肥料は空気中の窒素を石油から作った水素と反応させて作られるが、温暖化の観点からは、化成肥料は石油という数億年前の炭素固定物を分解してCO2を放出し、更に現在土中にある炭素固定物を減らすというダブルの環境負荷を与えてしまっている。


⑥ 温暖化 一酸化二窒素N2Oの事:
温室効果がCO2の300倍もあるN2Oは、人為的な窒素肥料投入で増えてしまう。
化成肥料は本来なら空気中で安定していた窒素を強制的に水素と反応させる結果、温室効果の高いN2Oを放出させる物質に変えてしまう。つまり化成肥料は炭素固定とN2O放出の両方で足を引っ張る厄介者という訳だ。

有機肥料の牛糞や鶏糞も人為的な窒素投入だが、家畜を飼っている以上糞からの反応性窒素放出は避けられないので、肥料投入の是非よりも家畜飼育量が本質論かもしれない。


⑥ 肥料を使わなければ自然は守られるのか?

当初は、自然農法は自然環境を変えずに野菜を栽培している、というイメージを持っていたのだが、それは能天気な話で、色々知る様になると「野菜を作って食べたい」という人間の都合を持ち込んだ時点で自然環境への影響は避けられなくなる、という動かしがたい現実も理解する様になった。

自然農では肥料の代りに草マルチという方法で栄養補給をする事が多いが、草を刈るという行為は既に、その地域の生態系に手を加えている。自然農法の見本と言われる福岡正信氏の農法でさえ、大括りでは無肥料栽培と言われるが、稲作では鶏糞を使っているし、粘土団子にしても種蒔きという作業は人為的な行為と言える。協生農法では本来の自然任せの生態系に敢えて人間の手を加えて、より人間に都合の良い生態系を作る事を目指して、「拡張生態系」という言葉を使っている。

 

そもそも自然環境とは何かと考えた時、生物としての人間もその一部なのだから、人間が手を加える事で環境が変化する事も、自然現象の一環という事になるのかも知れない。だとすれば別に良いではないかとも言えそうだが、問題は気が付くと自分達が住み難くなる方向に自然環境が変わってしまっている事だ。人間は業の深い生き物という事だろう。

 

生き物としての人類が、種を繁栄させようという遺伝子から逃れられないとすれば、自然農法や自然栽培や無肥料栽培をする上でも、人の都合を持ち込んでいるという基本認識は持った上で、なるべくなら自然環境の変化が少ない様に作物を作りたいという謙虚さが必要なんだろう。

 

始めた時は人間の業の話に繋がるとは思いもしなかったが、矢張り色んな事を考えさせて呉れる土・微生物・野菜作りは奥が深い。