以前のブログで、農業で利用する窒素肥料や堆肥は温室効果がCO2の300倍もある一酸化二窒素(N2O)を大量に発生させる為、無肥料栽培が重要になる事に触れた。

 

増え続ける地球上の人類の食料を賄う為に、大量の農作物を作り続ける事は必須であり、市場経済では機械・化成肥料・農薬に頼った大量生産農法が簡単に無くなる気配はなく大変悩ましい現状だが、ユーチューブでN2Oの記事を見ていたら、少し明るい話に出会ったので紹介したい。

 

東北大学の南澤究教授は、地中のN2Oを安定したN2に変える事が出来る微生物を発見し、地球冷却微生物と命名して研究を続けて居る。

故ケネディ大統領が「1960年代が終わる前に月面に人類を着陸させ、無事に地球に帰還させる」と宣言した事から、バックキャストの概念で進める壮大な計画はムーンショット計画と呼ばれる様になったらしいが、内閣府はNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)を通じてムーンショット計画を推進して居り、南澤教授の研究もその一環という。

 

家庭菜園でお馴染みのマメ科植物は、根粒菌が空気中の窒素を取り込む能力があって肥料要らずなのだが、この根粒菌が地球冷却化微生物の第一号として発見されたらしい(根粒菌は菌ちゃん農法で出て来る糸状菌と共生する窒素固定細菌と似ているが別物で、菌ちゃん農法でマメ科を育てると糸状菌が育ち難いという、菌ちゃん農法には少ない泣き所でもある)。

 

但し、根粒菌がN2OをN2に変える事が出来るのはマメ科の畑だけなので、作物全般の田畑でも出来る微生物を見つける事が次の重要なテーマとなる。そこで、一般市民に参加して貰い土と空気を集めて新たな地球冷却微生物を見つける市民科学を推進している。此れまでに数千種類のサンプルが集まり、地球冷却微生物も見つかり始めて居るという。今後は地球冷却微生物の培養と種々の実験を通じて、実際の農業に実装出来る冷却微生物を得て農業由来のN2O発生を大幅に削減する事を目指している。

 

YouTubeを調べると、1年ほど前から色々なビデオで紹介されて居る。NEDOのムーンショットとしての紹介や、テレビ等のメディアでの紹介も幾つかあった。内容は重複するが折角なので見つかったリンクを全て貼り付けておく。

 

 

khb東日本放送(10カ月前)

日テレNEWS(8カ月前)

ANNnewsCH(6か月前)

tbc東北放送 公式YouTube(5ヵ月前)

今後に注目である。