情報過多の現代、テレビ・新聞雑誌・本・インターネット等々を通じて色々な情報に接している。大半は日々の生活の中で過ぎ去っていくが、此れはという興味を引く優れた情報に接した時は、メモして忘れない様にする。

 

そんな情報は世の中の誰にでも同じ様に伝わり、共有されていると思い込んでしまう。本の場合なら以前のブログでも触れた「七つの習慣」「銃病原菌鉄」「サピエンス全史」「人新生の資本論」「夜と霧」等のベストセラーに接した時は、ある種の衝撃を持って読み進み、知人との会話で話題にするのだが、相手は読んでなくて今一つ盛り上がらず拍子抜けする事が少なくない。

 

”ベストセラー”という言葉の雰囲気で世の中のかなりの人が読んでいる様に感じてしまうのだが、どうもそうではなさそうだ。という訳で試しに”ベストセラー”の発行部数を調べてみた処以下の通りだった。

1位…窓際のトットちゃん(1984年・黒柳徹子著)800万部
2位…道をひらく(1968年・松下幸之助著)520万部
3位…ハリー・ポッターと賢者の石(1999年・J.K.ローリングス著、松岡佑子訳)510万部
4位…五体不満足(2001年・乙武洋匡著)480万部
5位…バカの壁(2003年・養老孟司著)440万部
6位…ハリー・ポッターと秘密の部屋(2000年・J.K.ローリングス著、松岡佑子訳)434万部
7位…脳内革命(1995年・春山茂雄著)383万部
8位…ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(2001年・J.K.ローリングス著、松岡佑子訳)383万部
9位…チーズはどこへ消えた?(2000年・スペンサー・ジョンソン著、門田美鈴訳)360万部
10位…日米会話手帳(1945年)360万部

 

日本の人口を調べた処、終戦の頃の7千万人程度から現在の1.2億人程度まで変化しているが、ざっと1億人で計算した場合、1位の「窓際のトットちゃん」800万部は約12人に1人しか読んでない計算になる。図書館や友人から借りて読む人も居るだろうから、仮に読者数を1000万人と見ても10人に1人である。10人に1人というのは記録としては凄い数字だろうが「誰でも読んでいる」というレベルには程遠い。

10位の「日米会話手帳」は20人に1人くらいで、50位の「夢をかなえるゾウ」178万部は50人に1人くらいとなる。

因みに最初に挙げた「七つの習慣」「銃病原菌鉄」「サピエンス全史」「人新生の資本論」「夜と霧」は何れも上位50位にすら入って居ない。

 

要するにベストセラーの読者数とはその程度であり、自分が興味を持ったベストセラー本を話題にしても、大概の場合は話が通じなくて当たり前であり、拍子抜けする方がおかしい、という事に気が付いた。

 

何を今さら、と言われそうなオソマツな話だが、錯覚と言うか自分の興味を中心に考えてしまうと言うか、此れも一種の確証バイアスかも知れない。