「銃病原菌鉄」:
世界的ベストセラーの銃病原菌鉄を10年程前に読んだ時は、
1万年前頃には、狩猟採集民が糧としていた動物が減少し、人類は危機を乗り切る上で野生植物の採集から栽培という手法に切り替わって行った。狩猟採集民の時代に一人が生きて行く為の食料を確保するには、
土壌劣化の原点は1万年前のメソポタミア:
前回も少し触れた話だが、もう少し詳しくみてみる。大地の五億年に依れば、農業は大地の栄養を吸い取り土を酸性化する所業であり、その結果大地を痩せさせCO2固定化を減少させる訳だが、
土壌の観点から言えば農業1.0は厄介者と言えるが、ホモサピエンスも種の繁栄がDNAに組込まれている以上、
大規模農法での土壌劣化:
産業革命後も工業化に伴う人口増のニーズを満たす為に、農業2.
然し裏側の影としては、ハーバーボッシュ法の土壌への影響も大きかった。これまで何度か触れてきたが、化学肥料は有機物という微生物の餌を含まない為、微生物は死んでしまいフカフカの団粒構造は失われて行き、更にハーバーボッシュ法で作られた硫酸アンモニウムは化学反応で土を著しく酸性化してしまい、土壌劣化が急速に進む事になった。此れにトラクターが深く関わって居た事は前回のブログで触れた通りだ。
つまり土壌の観点から言えば、農業2.0は1.0よりも桁違いに厄介な物となった。結果論としてはこの様に冷淡に言えるものの、当時の人達は必死であり食料増産の最善の手段と信じて進めた事を、矢張り後出しジャンケン的に非難する事は出来ない。
非難は出来ないが、現実は直視するしかない:
それでも現実は改めてチェックして置こう。
大地の5億年の解説によると、仮に1mの深さの土に含まれる腐植やCO2や炭酸カルシウム(CaCO3)が全て空気中に放出されると、大気中のCO2濃度は3倍になるらしい。例えば米国プレーリーの肥沃な土地は、メイフラワー号の入植以来の農業で既に約半分が消失し、腐植が失われると共にCO2が放出されたらしい。そして此処100年の大気中のCO2濃度上昇の内、80%が化石燃料による固定化CO2の解放だが、残り20%は土壌劣化による固定化CO2の解放であり、これは現在進行形であり且つ加速していると懸念されるのだ。
今回はキツイ話で終始してしまったが、次回はもう少し期待を込めた内容にしたい。