今回は此のブログを書くに至った背景に付いて。

 

社会人向け講座:

2017年の秋、65歳となり会社務めは続けて居たが、日々を惰性で過ごし始めていると感じ、何か変化を付ける為大学の社会人コースを受けて見ようと思い立った。テーマは何でも良かったのだが、何となく津田塾大学オープンユニバーシティの「持続可能な開発目標」というタイトルが目に留まり説明会に赴いた。すると会場は女性ばかりで、シマッタ津田塾は女子大だった!と席を立とうとしたが、アメリカ人らしき女性講師から「男性も大歓迎ですよ」と声を掛けられ、結局そのコースを受ける事になった。

 

SDGsを初めて知る:

コースは週一回で4か月、メンバーは10人で女性7人、男性3人。年齢は皆20代~30代と若く、その中に場違いな60代が一人だけ。職業は高校教師、JICA職員、大学の事務職員、会社員等様々。

「持続可能な開発目標」というコースがSustainable Development Goals (SDGs)と呼ばれ、「誰一人取り残さない」国連主導の活動だという事を初めて知ったのだが、他の若い参加者は皆とっくに知っていた事に、驚きと頼もしさを覚えつつ、少なからず忸怩たる思いをした。

 

アクティブラーニング:

講師は社会課題解決に関して世界各国で社会問題のセミナー講師をしているアメリカ人女性。進め方は英語のアクティブラーニングという感じで、メンバーが2~3組に分かれ、その日のテーマに関して予備知識が無くとも意見を出し合うセッションで、65歳の前期高齢者にはいささかタフで、いやでも頭をフル回転させる内に、2時間が一気に過ぎてしまう。毎回SDGsの17テーマに沿い次回の課題となる読み物の候補が与えられ、各自が選択して事前に読み込んでからセッションに臨む。

ある時はロールプレイで、アフリカの貧しい農家の住民になり、収穫時期に隣国の軍隊が襲ってくるという事前情報を得た時、さあどうする?という課題もあった。

 

無関心な日本人男性:

別のある時、セッションの休憩時間に雑談になり、メンバーの男女構成比が話題となった。男性3対女性7は男性参加者が少ないですか、と講師に尋ねると、講師は「海外でのセミナーでは大概男女半々だが、日本は極端に男性参加率が低く、今回の男性比率30%は日本では寧ろ高い方で、男性参加者がゼロというケースも時々ある。特に中高年男性の参加は本当に少なく無関心だ」と残念そうな表情、というか中高年日本男性の代表として少し非難めいた眼差しを向けられ、返事に困ったものである。

 

自分で出来る事:

4か月のコースを終える頃には、貧困、性差別、気候変動、児童労働等々それまでおぼろげにしか気にしなかった問題が、具体的に突き付けられ胸が詰まる思いをし、己の無力感も感じさせられた。終了の打ち上げ会で講師からは「無力感を感じるよりも、小さくても各自で出来る事を忘れずに意識する事が大事。先ずは自分の周りの無関心な人達に、事実を伝えるだけでも充分意義がある」と励まされた。

その後、現役時代は仕事の忙しい事、退職後は妻の体調不良を言い訳にして、全てを投げ出して問題解決に向かう気概も無い自分に自己嫌悪も感じつつ、せめてアメリカ人講師の言葉だけは胸に刻んで忘れずにいたいと思った。

 

興味の無い話を聞いてもらう難しさ:

講師の言葉に沿い、会社の知人・友人・家族に意識的にSDGsの話を心掛けるのだが、反応はイマイチというか、寧ろ人は興味の無い話を聞かされる事は本能的に拒絶するか、少なくともポジティブな反応には繋がり難い事が良く判った。

興味を持って貰う導入話術のレベルが低い事も一因で、如何に興味を持って貰うかが鍵という処までは認識したものの、かなりハードルは高いままである。日本人男性の関心が低いのは、特に働き盛りの男性の余裕の無い日々の裏返しでもあり、昔の自分を顧みれば納得はできる。但し、欧米諸国に比べると明らかに関心が薄いというのは、矢張り残念な状況だ。

 

その後の5年間:

COPでの化石賞の話題、難民問題、コロナ、生活実感としての温暖化の怖さ等もあり、過去5年間でSDGsやESGに関するマスコミの扱いも認知度も大いに高まって来たと感じる。但し、専ら海外の動きを追いかける事で精一杯であり、日本としての主体性や社会全体でのうねりが強まらないのは相変わらずの印象である。以前のブログで書いた日本人はバックキャストが苦手である事や、SNSで確証バイアスが強まる今の世の中で物事への興味が広がりにくい社会も影響している様に懸念する。

 

ブログ:

諦めずに地道に、且つ押しつけがましくならない程度に、ブログで思う処を綴るのも一案と思い、「SD爺の独り言」というタイトルで始めてみた。開始後一か月で投稿10本、アクセス130件、いいね20件と正に独り言の閑古鳥状態なのだが、まあネタが尽きるまでは気長に続けていこうと思っている。