ランキング:

ジェンダーギャップ指数のランキングで日本は153ヶ国中120位、先進国では最下位と、長期低迷から抜け出せない。ジェンダーギャップの何が悪いのかに付いて、少し考えてみる。

 

長谷川真理子博士の本「進化とはなんだろうか」:

以前読んだ長谷川真理子博士の本「進化とはなんだろうか」には、オスとメスの子孫繁栄戦略の違いが判り易く解説されていた様に思う。以前書いた外山滋比古先生の教えに従い、一旦は忘れてしまったのだが、辛うじて頭に残っている事を書き出す。

生物の遺伝子は種の繁栄を目指すように出来ているが、精子を沢山作るオスは、出来る限り多くのメスに自分の精子を撒く事が重要命題で、更に狙ったメスを得る為には、今そこにいる他のオスと戦う事が必要になる。一方のメスは排卵が一月に一個だから一度に沢山の子供を作る事は出来ず、種の繁栄の為には貴重な卵に良い種が届く様に、一番強そうなオスを慎重に選ぶ事と、生まれた子供を時間を掛けて大事に育て上げる事が重要命題となる。そして子供が生まれた後は、母親同士が協力して互助する事が理にかなっている、という様な内容だったと思う。

 

リーダーに適しているのは?:

以上は身も蓋も無い話に聞こえるが、進化の結果としての遺伝子はその様に出来ているらしいので、良い悪いの議論は余り意味が無く、冷静に認識する事が大事なんだろう。ざっくりと言えば、今が大事で争いを厭わぬオスvs先を見て助け合うメス、が私なりの整理である。そうなると単純に考えて、温暖化対策にせよ、核抑止にせよ、格差抑制にせよ、遺伝子というか本能の適正から見ると、協調すべき社会でのリーダーはオスよりもメスの方が適していると考えられる。

 

コロナ対応の例:

コロナ初年度の各国首脳の対応を思い出すと、この考えは結構当たっていると感じる。即ち、的確な初動対応とリーダーシップで国民の信頼を高めた独メルケル・NZアーダーン・台湾蔡(女性がトップ)vs場当たり対応で失敗を繰り返し信頼を損ねた米国トランプ・伯ボルソナロ(男性がトップ)の構図である。コロナは国が争う局面ではなく、協調すべき局面だったので、遺伝子から予想される通りの結果となった様だ。

 

協調の歴史と加速:

人類の歴史は争いの歴史であり、なればこそリーダーはオスでなければならなかったし、今もその流れは変わっていない。とは言え、スティーブンピンカー博士という人の研究によると、人類の殺し合いの比率は長い歴史の中で着実に低下して来て居り、30年前と比較しても殺人・戦争の数は改善している由。つまり人類は着実に争いから協調に向けて進化しつつある様なのだが、温暖化・感染症・紛争・格差等々の悩ましい問題が地球規模の協調を緊急で必要としている現代に於いては、歴史のペースに任せていても、とうてい間に合わないと感じる。

世界が諸問題に耐えうるレベルの共生や協調に向かうには、どう考えてもオス中心では限界があり、女性リーダーの比率がもっと増える事が必須条件に見えるのである。

 

アイスランドの事:

数年前の日経SDGsフォーラムで、ジェンダーギャップが少ないランク一位アイスランドの話を聞く機会があった。登壇のアイスランド人女性は「1975年以前のアイスランドは今の日本と似たりよったりだったが、その後女性が主体的に声を上げ続け、女性の議会進出、初の女性首相、インセンティブを絡めた男性の育休奨励策、等々長い道のりを経て、漸く今の状況に至った。今後も更に課題にチャレンジして行く。」と力強く解説され、日本へのエールとして、「待っていても変わりません。声を上げて変化を起こしましょう。」と締め括っておられた。

 

我が身と日本:

アイスランド女性の話を聞き、ジェンダーギャップ対策には女性の主体性と男性の意識変化が必須条件と判ったが、我が身を振り返ると、現役時代は仕事最優先で夜も飲み歩きの深夜帰宅で、育休は愚か家事の手伝いすら略皆無だったなと、意識の低さに恥じ入ったものである。

リーダーシップ以外にも、ジェンダーギャップが問題である理由は沢山あるが、何れにせよ日本は本気で発想の転換が必要なんだろうな、と考えさせられる。

 

続きは次回。