甘くて切ないピアノの声
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飴と、ニット帽と、温かい飲み物、
あとはナイフ。

ナイフって言っても、小さいけれど。


「っぢ!!」

水筒に入れたカボチャスープが熱すぎて叫んだ後、私は慌てて口を覆った。


お母さんは、蟻の子の泣き声まで聞き取れるんだもん。


私は《警察》みたいに姿勢を低くして、
泥棒みたいに音を殺して、
ドアを少しだけ開けて、その隙間からゆっくり抜け出す。



お母さん、ごめんなさい。

ちゃんとお話は聞いてたよ。

でもね、
私はみんなと違って、
注意されたら余計にやけちゃうみたい。


しょっぱい水?
火を吹く山?
未知なる生物?



全部全部、私の夢見る理想郷!



「…私は悪くないもんね」



行くなって言われたら、
行きたくなっちゃう。

考えるなって言われたら、
余計に胸が踊っちゃう。


しょうがないでしょ?



霧の中をすり抜けて、
夜闇をこっそり駆け抜けてみた。


いつもなら明るい花屋さんも、
色んな服が並ぶショーウィンドウも、
楽しいけどちょっぴり怖い人形屋さんも。



こんな時間だと、影と同じ色になって
なんにも見えない。



「…あった!!」


ああもう、前髪もっと切れば良かったなあ。



前髪をピンで止めて、
私は目の前にあった螺旋階段に飛び乗った。



この階段は、普段は大人たちが
見張ってて、私たちが近づこうとしたら
すぐ追い払って怒ってくる。


近付くな、危ないぞ、って。


「はぁ、はぁ、」


興奮して、じっとしちゃいられない。



だって気になっちゃうんだもの。

しょうがないでしょ?







.
それは、私に憧れを抱かせるには、
そりゃあもう、充分すぎる夢物語だった。





そんな理想郷に比べて、
牢屋のように巨大な壁で囲まれたこの町は、私が唯一知る世界だ。




この町は、夜になれば霧が辺りを隠し、
目の前に何があるのかすら分からなくなる。



だから子供は日暮れ前に家に帰らなければ
危ないし、

夜の町を徘徊する《警察》に捕まる。


捕まれば家に帰され、親に顔を
叩かれるのが嫌で、
みんなはちゃんと約束事を守っている。

私ももちろん、守っていた。




だけどある時、
酒に酔った大人から聞いた話では―

『上の世界はきらびやかだぞ』

『霧がかからなくて綺麗なところだよ』

『餓鬼の楽園さ』


そんなどれもが輝く並列された言葉を聞いて、
《餓鬼》の私はいてもたってもいられなくて。





親に叩かれてもいい、


死ぬほど怒鳴られてもいいから、






私はカバンを抱えて、こっそり、
夜の町を必死に駆け抜ける。








理想郷を、一目見たくて。









 
はじめまして!ショック!キラキラ
 
 
 
 
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このブログではオリジナルの小説や
私生活について描きたいとおもってます。
 
 
 
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私は中々自分から突っ込めないチキンなので、
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