始まりは「すごいものを作ろう」という気持ちではありません。「このままじゃ自分がやられる」でした。
まず、その作業の中身から
私の仕事の1つに、見積書の中身を専用ソフトに打ち込む作業があります。
見積書に書かれているのは商品名や金額です。打ち込むのに必要な「コード」は、どこにも載っていません。だからコードを調べながら、1行ずつ手で打つしかありませんでした。
弊社が扱っているのは物件、つまり家です。材料1件分がデータ1件になり、1件で100行は当たり前の量です。それが月に少なくとも300件、多いと400件あります。
しかもこの作業は、メインの仕事である見積書作りと並行して進めなければなりません。
しんどい、の一言でした。
きっかけは「時間がなかった」こと
この仕事を任されると決まった時、とにかく時間がありませんでした。
毎日20時くらいまで残業しても終わらない。体力より先に、気持ちがもたないと思いました。早くどうにかしないと、自分がやられてしまう。
自動化を始めたのは、向上心からというより、自分を守るためでした。
VBAマクロで「入力用の一覧表」を作った
まず、見積書の中身を「入力用の一覧表」に変換するVBAマクロを作りました。
打ち込むコードが自動で当てはまった表が出てくるので、あとはそれを見ながら、がむしゃらに打ち込むだけです。
かなり楽にはなりました。それでも量が多すぎて終わらない。手で打つ限り、限界がありました。
悩んでいた時に見つけたのが、パソコンの操作そのものを自動化できるpyautoguiというPythonの道具です。ここから10日で形にしました。
一番詰まったのは「Ctrlキー」でした
専用ソフトには独特のクセがあり、次の欄に進むキーがEnterではなくCtrlです。
ところが、pyautoguiで「ctrl→ctrl」と送っても、うまく動きません。
原因は専用ソフト側のキーボード設定でした。その機能が、片方のCtrlキーにしか割り当てられていなかったんです。
そこでソフトの設定を変えて、左右どちらのCtrlキーでも次の欄に進めるようにしました。すると、ctrl→ctrlの動きが通るようになりました。
プログラムの問題に見えて、答えはソフトの設定側にあった、というオチでした。
周りは驚いた。でも私の感想は「楽になった」
完成後、上司には「こんな事務員初めてだ」と言われました。社長が驚いて、他県からわざわざ見に来たこともあります。
それでも、私の気持ちで一番大きいのは「楽になってよかった」です。
あのまま手入力を続けていたら、今の私はなかったと思います。
今は1件30秒。入力中は別の仕事もできる
今年Claudeと出会ってから改良が進み、今では1件30秒ほどで終わります。
自動で打ち込んでいる間、私は別の作業ができます。だから実際に浮いた時間は、数字で見る以上です。
月に300〜400件あるこの作業に潰されずに済んでいるのは、あの10日間のおかげだと思っています。
自動化は、キラキラした話ばかりではありません。「これ以上は無理」というところから始まることもあるんですよね。


























