分裂か出現か。
 まあ、エンターティメントとしてはどっちでもよく、マニピュレーション人口が少なくなっている現在では、マジシャンでさえその違いを気にする人は少ないのかもしれない、とも思いますが、私はこの点が非常に気になって仕方が無いので、ロールダウンを改良することにしました。

 それで、ある程度できてみたら。
 意外につまんないんですね。わかりづらいというか、地味というか。
 元の、あからさまに手に持って広げてる方がおもしろい。

 本質的に改良してるはずなのに、見た目が地味なのは何故か。
 それは、分裂の見せ方のままで、出現現象を行っているせい、です。
 この二つは、一見区別がつかないくらい似ているのに、必要とされる見せ方が違います。
 どうすれば効果的に見せられるのか。

 答えは、自分でもある程度わかっているのですが、こだわっている部分なので認めたくないのです。
 自己欺瞞は他人に否定してもらうのが簡単です。こういう時は、経験豊富な師であるカズ・カタヤマさんに意見を求めると、一発で答えが返って来ます。

「普通のロールダウンと組み合わせろ」。

 多彩な芸による手順構成こそが答え。比較する事で、今までジャグリングだったものがマジックになる、という、驚きのツボ所の変化がわかりやすくなります。
「普通のロールダウンではないものを」だけに拘泥して「エンターティメント」という目的の方を忘れてしまっては本末転倒。


 ・・・という事で、いろいろやる事に方向が決まったのはいいんですが、言うのは簡単、実行は相当難しい。
 ただでさえ確実にこなすのが難しい技を、さらに何種類も習得する必要があります。

 ひとつのアイデアを実現するまでには、その周辺を広く掘って行く必要があります。作るときはこだわって作り、こだわりから離れて完成させる。そこには多くの視点も必要で、その間はずっと練習を必要とします。

 私が愛してやまないマニピュレーションですが、こういう所がなんとも厄介なのです。