いい旅 夢気分 | .

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嫁も


娘も


前歯のない母も


誰も知らない


あたしの


秘密



あなたにだけ


教えてあげる。








我が家は


毎年3〜4回


旅行をする。



冬は雪山や蟹


温泉を軸に


嫁や娘を主体に


旅のプランが決まる。


夏も夏で


海やプール、キャンプなど


嫁や娘が主体となる。




ただ


そのうち1回は必ず


朝夜バイキング付きの


安めのホテルに泊まる


あたしメインの旅をする。



嫁にはかなり不評な旅だが


これがあたしのアナザースカイだ。






何が良いって


バイキングがセットになって


温泉付きで


一泊8000〜15000円程度で


旅が出来るのだ。


そう。


テレビのCMなんかで見かける


アレやアレだ。



やはり


お値段がとってもリーズナブルなので


学生さんや若いカップル


荒けない家族(中古の黒いアルファード)


などが多いので


のんびりしっぽりとは行かないが


めちゃめちゃ楽しい。



何が楽しいって


タイトルをつけるなら


「カオス」


これだ。





まず


こういった旅にくる


客層は


「元取らな損」


という思考が強い方が多い。



そして


「セッ〼スしに来てます」


「とにかく安けりゃOK」


といった感じの


ワンイシューさが


潔い。








それがいい。







それとは真逆


嫁が好きな


ラグジュアリーに高級温泉旅館なんて


泊まろうもんなら


優雅に


そして


エレガンスに


と肩が凝るだけで


自宅に帰る頃には


やっぱり家が一番や


って、ベタなパターンになりがちだ。






ここで


バイキング旅の楽しみ方を。



まずは


大体着いてすぐ


駐車場かロビーで


オカンが息子とかに


バチギレしている。




いい。





キレ方も


凄く下品で声がデカい。





満点だ。





それを半笑いてチラ見する。



どんなウエルカムドリンクや


ウエルカムフルーツよりも


ワクワクさせる。




チェックインだって


殺気だっていてイイ。


我先に感を押し殺す感じ


好き。











ワクワクはピークに。




バイキング旅あるあるで


なぜか愛想の悪い客が多い。



これが特にイイ。



エレベーターなんかで


「何階ですか?」と


笑顔で聞くと


キョドッているか


半ギレかのどちらかで答えてくる。




そうさ、バイキング旅は戦場だ。


同じ時間、場所、を共有する仲間ではない。


ライバルなのだ。




たまーに


すっごいフレンドリーな


お客さんも居たりするが


逆にテリトリーに土足で入ってきそうな


フレンドリーマンキンタイプだと


それはそれで、怖い。






多種多様な人間の坩堝感も


たまらない。







部屋に入ると


この旅唯一の静寂である。


だが、この旅に静寂は似合わない。


あたしは耳をダンボにする。





薄い扉から聞こえる


他の部屋の声。


泣き叫ぶ赤子。


テンションの上がっている


おっさんのギャグ。


生命の音がする。




日常を離れ


今あたしは旅をしている。



そう。


これは


幼少期に母に連れて行ってもらった。


海の近くの民宿。



ソレと同じだ。



昭和から令和へと


時代はうつろえど


旅の風景は変わらない。




風情を楽しみたいが


娘にとっては


何よりプールだ。



浮き輪を膨らませ


もはや水中眼鏡をした


浮かれたスタイルで


部屋を出る娘。


水中眼鏡がキュンキュンで


目が


岸部四郎感半端なし。






プールでは


秒速2ミリの娘のバタ足を


褒め倒し。


早く疲れろ!と心で叫びながら


娘をブンブンほりなげる。



作戦は功を奏し。


唇紫になった事をいい事に


温泉タイムである。




本日初の


1人時間だ。





ウキウキで温泉へ向かうあたしに


迫り来る黒い物体!!



敵か!味方か!






次週!


「恥なき世界」









ハッキシ言って


おもしろかっこいいぜ!!!