まず初めに軽く自己紹介をしようと思う。
私は膠芽腫を患った母の娘。
32歳の専業主婦だ。
夫と二人暮らしをしている。
母は今年56歳。看護師をしている。
隣県で父と二人で暮らしている。
父と私、そして夫の手を借りながら、これから母の闘病をサポートしていこうと思っている。
最初の違和感
母に違和感が生じたのは8月末。
私が、お盆の帰省をずらして実家に夫と共に帰ると、母が少し困ったような声で言った。
「何か右足がピリピリするんだよねえ。走りすぎて神経が変になったのかな?」
なんてことない風に言っていたのを覚えている。ここ数年、母はダイエットのためにランニングを始めた。効果はみるみる現れて、高血圧などで悩んでいたのがうそのように健康的な身体を手に入れている。そのためか、ここ最近は特にランニングに力を入れており、ゆくゆくはマラソンの大会に出る心づもりなのではないか?と思うほど、熱心に取り組んでいた。
もう2年以上続けているランニングで、足の痺れが出るものなのだろうか?とふと思ったが、母が神経系の何かだと思うから病院に行ってくるよ、と気さくに言うので、そうなのだろうと納得した。その時は、ただ楽しい帰省になっただけで、その後何も起こらず。
私は隣県に戻り、また元の生活を送っていた。
二度目の違和感
2度目は、9月22日のことだった。
母が私の暮らしている県に父と遊びに来た。夫は仕事だったので、3人で産直や行きたかったレストランに行き、ちょっとした小旅行のような楽しみ方をしていた時のこと。母がまた、右足のことについて触れた。
「先生は神経に傷がついてるから安静にしてれば大丈夫、って言ってたんだけど、最近右手もぴりぴりするし首がすごく凝るの」
首は右側に捻れないほど痛むらしい。私は違和感を覚え、母に進言した。
「痺れとかって、脳の病気とかじゃないの?」
看護師。それも、脳神経外科で働いている母にそんなことを言うのは釈迦に説法だったかもしれない。けれど、なんとなく湧き上がる違和感が後押しをし、気づけば声に出して問いかけていた。母はその言葉に笑って答えた。
「脳の異常だったらもっと症状が出てるし、動かなくなってるはずだよ。お母さんのは、動くし握力もしっかりしてるもの」
少なくとも、脳梗塞やそう言った類の病気ではないらしい。しかし、少し考える素振りをしていたのが気になった。その日も、目一杯楽しんだのち、母は父と一緒に実家へ戻った。とても楽しい1日だったので、私は母の手足の痺れのことは気になりつつも、神経系の何かで、今後落ち着いてくれたらいいと思った。しかし、それはやはり誤りだったとその後判明する。
電話にて
母たちと楽しく遊び、その余韻も少しずつ収まっていった翌週の水曜日。9月27日のことだった。
夕方、母から電話がある。
出ると、母から大切な話があるの、と言われた。いつになく猫撫で声というか、明らかにトーンがおかしかった。私はてっきり、何か買ってほしいものがあるだとか、旅行のお誘いだとか。そういうものだと思って「何?」と答える。
するとその後発せられたのは、母から脳腫瘍の疑いがあること。地元の病院では判別がつかなかったため、私が住んでいる地域にある大きな大学病院に紹介状を書いてもらったことを話される。
長くなってしまったので、二回に分けたいと思う。
この後入院している母の面会へ行くので、続きは夜か、遅くても翌日には更新したい。
では。