クリスマスまであと5日と迫った、先日のこと。
 
その日レジを担当していた私の次のお客様は、お上品な感じの年配女性と

その息子らしき男性(30代くらい)だった。

「ハロー」といいながら、クリスマス用に調達したと思われる品々をスキャンし始め

ようとする私に、お客様が言った。

「今日は35ポンド以上の買い物はしたくないから、合計が35ポンドになったら

教えてもらえるかしら?」

そこでピン、と来た私。

先週、うちの職場でクリスマス前にお客を獲得する手段として、クーポン券を

配りまくっていて、それが「35ポンド以上お買い上げで5ポンドオフ」というもの

だったのだ。

それでそのお客様に「本日はクーポン券をご使用されるのですね」というと、

「そうそう。クーポン券何枚か持ってるのよ。でも1日につき1枚しか

使用できないじゃない?

だから、今週は買い物を数回に分けてやる予定なの。それで、今日は35ポンド分

だけしか買い物したくないの、ホホホ」

確かに、1回で100ポンド分の買い物をして5ポンドしか割引されないのと、

35ポンド毎に5ポンド割引されて、最終的に同じ100ポンド分の買い物を

するのとでは、節約に大きな差がでる。

納得納得。

「そうですよねー」という私に

「そうよー、違いは大きいわよー」とお上品にそして得意げに言うご婦人。

そして商品をスキャンしながら、合計金額にも注意を払っていた私。

いよいよ残りあと数品となった時、合計金額が35.50ポンドになった。

「あ、35.50ポンドになりましたよ、奥様!」(60円ほどオーバー)

するとご婦人が

「あ、じゃあ、今日はこれだけ。残りのものはまた今度買うことにするわ。

いいかしら?」というので、

「もちろんですよ、もちろんです。35ポンドから少しオーバーしちゃいましたけど、

50ペンスだけですから、ほぼ完璧ですね!」とお世辞を言いながら、ご婦人が

今日は買わないという品がなんなのかを見てみると、そこにはレモンが2つ・・・。 

思わず目を疑って、もう一度見直すがやっぱりレモンが2つ。

ちなみにレモンはいつ40円ほど・・。
 
ついつい口が勝手に

「このレモンたちは、今日は買わずに次回ということですね・・・」といってた私。

するとご婦人は自信たっぷりに

「えぇ、次回にするわ、ほほほほほ」

「レモンたったの2個やん!今日買ってしまえよ!」といいたい気持ちを抑えて、

「いやぁ、35.50ポンドなんて素晴らしい。今日は計算機お持ちなんですか?

え?持ってないのにこんなにばっちり計算されてすごいですねぇ。」とお世辞を

言い続ける私。

ご婦人と、今まで静かに買ったものを買い物袋にいれていた息子は2人とも

そのお世辞にまんざらでもない様子で自信たっぷりに帰ってった。

いや、しかし。

私だったら、おそらく面倒くさいと思うのと、恥ずかしさで「今日はレモンは

買わない」と、いえないと思うのだが、たとえ80円のレモン2個でも節約のため、

上品にさらっと言い切った、あのご婦人に感心することしきり・・。

でもあのおばさん、絶対金持ちだわ。

お金持ちの人ほど、お金を大事にして無駄には使わないっていうもんね。