保護犬収容施設にて

うっかり私が恋に落ちてしまった

9歳雄犬(雑種・

加齢臭および見た目に難アリ)。

 

この子に心を奪われた私は

早速その翌日に夫(英国人)をつれて

また施設を訪れたように覚えていたのが

・・・さっき自分の日記を確認したら

それは私の記憶違いでした。

 

そう、当時、我々は色々忙しかったのよ!

 

そんなわけで私が夫とともに

わが運命の犬と再会したのは

最初の散歩からなんと約3週間後。

 

・・・この3週間の間に件の施設には

毎日のように新しい犬が保護され

そしてそうした子たちはさっさと

貰われ先を決めて姿を消し・・・

 

「な?結局は見た目の問題なんだよ。

可愛かったり凛々しかったりする犬から

さっさと譲渡されていくんだよ。まあでも

人の愛情の拠り所はそれぞれだ。

犬に関しては見た目が第一、という

人たちを非難するつもりは全くない。

むしろそういう人たちのおかげで

私が狙っている犬は今も

『譲渡:可能です』状態なわけだ。

犬の出入りの激しいあの施設で3週間

誰からも声がかからない犬、

性格も資質も躾具合もとてもいいのに

見た目だけが災いし不人気な犬、

これこそ我々への

天からの贈り物でなくして何だろう」

 

「・・・しかし君が目を付けたその犬、

施設のHPに載っている写真を見る限りでは

普通に、いえ、普通に、というのも何ですが

まあ普通に『・・・うん、この犬はその・・・

ハンサム・・・じゃないよね』程度の

容姿の残念さである気がするんですが、

何ですか、実物はそんなにすごいんですか」

 

「おう、そこは勘違いしないでくれ。

その写真はな、あの犬にしてみれば

ものすごく『うつりがいい』1枚なんだ。

君も実際にあの犬に対面したら

息をのむこと間違いなし、

それくらいインパクトのある犬だ」

 

そんなわけでとある週末の土曜日

私と夫はやっとのことで予定の帳尻を合わせ

まずは施設に前もって問い合わせの電話。

 

「あの、例の9歳雄犬ボブ(仮名)ですが。

彼はまだ譲渡先を探している最中ですか?」

 

「はい。まだどなたからも

譲渡予約はいただいておりません」

 

ならば、と施設に馳せ参じ

「ボブの!ボブの散歩をさせてください!」

 

「はいはい、もちろん。ボブ、ご指名よ!」

 

施設の扉から元気いっぱいに

文字通り飛び出てきた老犬ボブ。

 

・・・うむ、記憶にたがわぬ見た目のアレさ!

 

2度目だから少しは自分もかの犬の

外見に慣れているかと思いきや、

この顔の巨大さと体の細さの

絶望的なまでのバランスの悪さ、

スケベ感満載の細い目元と

だらしなさ全開の裂けた口元、

卑猥なまでにひきしまった臀部と

妙にヌルリとした毛艶、そして

極めつけの首元の加齢臭スポット。

 

どれだけ心の準備をしていても

やはり私をたじろがせる何かが

この犬には絶対にある!

 

ふと横を見ればわが夫が

完全な無表情になっており、

うん、わかる、人間あまりにも

予想を越えた状況に直面すると

思わず真顔になっちゃうわよね。

 

「・・・妻ちゃん、この犬、確かに

君の言っていた通りの外見ですね」

 

散歩におけるその態度の良さも

私が前もって夫に説明していた通りで

しかし夫は私と違ってこの日のうちに

この犬に心を奪われる、ということはなく

「・・・あの犬と君の間に何らかの

絆が形成されかけていることは

僕にもよくわかったんですが・・・

しかしあの犬は・・・あの見た目は・・・」

 

「何だ。君も犬には

外見のみを求めるタイプか」

 

「いや、そうじゃありませんけど。

でもあの犬、あの頭の巨大さと

体の小ささ、特に過剰に引き締まった

あの臀部と変に長い尾のあの対比

・・・オタマジャクシに似ていません?」

 

 

 

 

「オタマジャクシ、結構じゃないか、

君はオタマジャクシは好きだろう」

 

「いえ、オタマジャクシは好きですけど、

でも僕は犬にオタマジャクシ感

求めていないんですよね」

 

「いや、確かにあの犬は不格好だよ?

スタイルは悪いよ?でもスタイルということなら

あの子のあの黒と白の混ざりこんだ毛色は

我が家の猫たちとよく似合う気がしないか。

あれだよな、足先に白が入っている辺り

うちの白黒猫サンストリーカーと

色味は同じといえるよな」

 

 

「待ってください!そりゃサニー君も

あのボブ君も全体の色の入り方は似ています、

でも結果は大違いでしょ!

サニーはハンサムですけどボブは・・・!

ボブは違うじゃありませんか!」

 

そんなこんなで我々はその翌日に

また保護施設に連れだって出かけたのです。

 

続く。

 

 

私がここで念のため

再度申し述べておきたいのは

私はこの犬の容姿について

散々言いたい放題しておりますが

別にだからといってその

『駄目な容貌』に同情してこの犬を

好きになったわけじゃないんです!

 

・・・・いえ、この頃、

電話で話をした夫の弟その3に

「お義姉さん、気持ちはわかるけど、

でも犬を手に入れる時に

一番やっちゃいけないのは

同情で犬を選ぶことだよ」

という忠告をいただいてですね

 

義弟その3の

言わんとするところはよくわかる、

でも私の当時の気持ちは

同情というのともまた違ったんです

 

じゃあその気持ちの名前は何なのか、

ということになると一言では答えられない辺り

本当に恋の道は難しいのう

 

しかし犬ネタが長くなって申し訳ない

 

スコットランドの旬ネタは現在

『大雪』で間違いないんですが

・・・うん、降っているよ

 

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