さてそんなわけで編み物教室初日、
家に帰った私はまず夫(英国人)に
その日の成果を披露。
「・・・妻ちゃん、これは言うなれば
『ウワーオ!』ですよ!
すごいじゃないですか!
ちゃんと編めているじゃないですか!」
ふっふっふ、私もそう思うの!
そして寝る前には
しっかりその日の復習を。
そういうところ、私、割と真面目なんです。
習った二種類の編み方を2段ずつ繰り返す。
それにしてもこれまで私が
イメージしていた編み物女の言いぐさは
「ひと目ひと目アナタのために心を込めて
編みました・・・」みたいなものであったのですが、
あれは誤解であったのか、それとも私に
そうした素質がそもそも枯渇しているのか、
とにかく個人的に私はあまり
そういう気持ちは網目にこめませんでしたね。
一応わが父(イメージ武将:石田三成)への
誕生日プレゼントということで
それなりに父のことを考えつつ
棒針を動かしてはみたのですが
「・・・夫よ、無事にこの編み物が
マフラーとして仕上がるとするよな」
「三成さんは喜ぶでしょうね」
「喜ぶは喜ぶだろう、が、
その喜びの表現はな、奴め絶対に
次の3つのうちのどれかだぞ。
その1、『わあ!本当に手編みだね、
ほら、ここのところの網目が
すごく不格好!これが証拠!』とか言う」
「・・・いや、妻ちゃん・・・」
「その2、『本当はお前は編んでないんでしょ、
お金を出してプロに編んでもらったんでしょ、
素人っぽく編んで、とわざわざお願いして』とか言う。
ああ、想像するだけで腹が立つ」
「妻ちゃん、大丈夫ですよ、だってここまで
とても上手に編めているじゃないですか、これは
三成さんだって文句のつけようがありませんよ!」
「まあな、このまま自分でも驚くくらい
上手にマフラーを編み進められるとするよな、
するとその場合の言いぐさその3、
『これ、手編み風の市販品でしょ』
・・・うちの父はな!
そういうことを言う奴なんだよ!」
「妻ちゃん、それはひねくれすぎですよ」
「ふーん、そう?じゃあうちの三成君は
私からマフラーを貰ってどう反応すると思う?」
「・・・ふ、普通に・・・喜ぶ・・・
かもしれないじゃないですか・・・!」
「あやつめが普通に喜んだら
それはそれで怖いぞ、万が一にも
マフラーを手に涙ぐんだりしてみろ、
それこそ健康不安でも隠しているのかと
こっちが疑心暗鬼になっちゃうぞ!」
こんなことを言っていた
罰が当たったのでしょうか、
編み方2種類を2段ずつ、
合計4段を増やしたところで
・・・網目が21個になっていましてね
(正しくは『20個』であるべき)。
「ものども、出会えい!
治部少輔の呪いじゃー!」
「妻ちゃん、落ち着いて!」
そう、こういう時は
まずは落ち着かないとアカン、
しかしそこで素直に
冷静になれるかと申しますと
初心者にそれは厳しい。
網目に心乱される
初心者編み物女の悲劇なのでございます。
続く。
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