先日、お客(ドイツ人殿方)があり

食事の後に外でも散歩しましょうかと

前庭に通じる扉を開けたところ

最初に屋外に出たわが夫(英国人)が

「・・・今日の我が家周辺はちょっと

変な臭いがしますね、申し訳ない」

 

変なニオイ?

 

別に危険なゴミは出していないし

隣の牧草地もいつも通りだし

(お隣さんが堆肥を撒く日が

年に一度ございまして

その日はなかなか面白い香り

周囲に漂うのでございます)

近隣で焚火をしている様子もないし。

 

夫に続いて外に出て

くんくんと鼻から空気を吸ったところ

「・・・うーむ、なるほど、確かに

微かにいつもと違う香りがするな」

 

私の後から靴を履いた

ドイツ人紳士も

そこらのニオイを確かめて

「でも別に悪いニオイじゃないですよね」

 

それを聞いてわが夫が

「そんな気を使ってくれなくて

大丈夫ですよ、嫌なニオイでしょ?」

 

いや、それほどか?

 

「変は変だが嫌って程じゃないな」

私の言葉にドイツ人紳士も頷いて

「そうですよね。このニオイは・・・

ちょっと甘くて、ケーキみたいな

香りですよね。僕、

ケーキのニオイは好きですよ」

 

「ケーキというのは私には

よくわからないけど、そうですね、

形容するならこれは・・・

そうだ、磯の香りだ。

海辺でこういうニオイがするよ」

 

私とドイツ人紳士の会話を

夫は困惑した顔で聞いていて

「ケーキとか海とか・・・君たち・・・」

 

「でも海のニオイは海のニオイだろ」

 

「そうですよ、ケーキのニオイは

ケーキのニオイですよ。でも

海にニオイやケーキのニオイが

山奥でするのも奇妙なものですね。

これ、実際は何のニオイなんでしょうか」

 

ドイツ人紳士の素直な疑問に

わが夫は肩を落として

「・・・僕には心当たりがありますよ」

 

夏の間の居候、我が家の可愛い

種牡羊(通称:おっさん)が放されている

草地のほうに移動しましたところ

柵の傍らで1頭の羊が

仰向けに倒れ伏しておりまして。

 

そう、ニオイの元は羊の死体、

変な香りは死臭だったのでございます。

 

「ああ、なるほど!道理で

子供の頃に作って失敗した

貝殻標本のようなニオイだと思ったよ!

でも系統は同じだよな、潮のニオイ

 

「潮はこんな臭いはしません!

あとケーキのニオイというのも違います!」

 

「いえ、こうして近づくと確かに

ケーキのニオイとは異なるニオイですが

さっきのあの時点、離れたところでは

割とケーキっぽい香りでしたよ」

 

「君たち二人とも鼻が

どうかしているんじゃないですか?」

 

嗅覚というのは

不思議なものでございます。

 

 

種牡羊という仕事柄

我が家にいるおっさん達の

平均年齢は割と高め

 

 

故にこのように夏の半ばに

寿命を迎える個体も

毎年のように存在するのですが

でも今年は落命羊数は低めです

 

春先が乾燥していたのが

カギなんでしょうか

 

 

あ、今日ここに掲載した

おっさん達の写真は

2カ月ほど前に撮ったものです

 

死臭と聞いてニオイが想像できるあなたも

よく考えたら未経験です、なあなたも

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