渡英してきたばかりの頃の私が
静かに驚いたことの一つに
この国の人々の『トイレの床』に対する
包容力の広さ、がございます。

どういうことかと申しますと、
あの、英国の皆様って、割と平気で
トイレの床に物を置くんですよ。

お店とかでトイレに行くでしょ?

個室にはいるでしょ?

するとドアか壁にフックがついていて、
そこに荷物をかけることができますでしょ?

そのフックが壊れていた場合、
皆様、どうなさいます?

せめて画像くらいは清らかなものを


私は黙って個室を出て
フックのちゃんとついている個室を探すか、
あるいは荷物を自分の首にかけるなり
前に抱えるなりしてアクロバティックに用を足すか、
丈の長いジャケットなどは個室のドアの
上にひっかける、という手も使います。

一方こちらの方々はそんな時、
迷う素振りなど一瞬も見せず、
素直に荷物を足元に置くのです。

何故そんなことを私が
知っているのかと申しますと
ほら、こっちの公衆トイレのデザインって
個室のドアの下のほうの隙間が
割と大きめに取られているんですよ、
なので見ようとしなくても
見える時があるんです。

ともあれ、これが私には衝撃的でして。

確かに洋式便座を使用する環境にあっては
正しくトイレを使えばその周辺の床など
汚れない、という考え方も成り立つでしょう。

トイレの個室の便座側はともかく
ドアに近い側の床なんて特に汚れようがないし、
たとえ汚れたとしても公衆トイレであれば清掃人が
定期的に洗浄・消毒をしてくれているものであろうし。

・・・でも私は嫌なんです!

少なくとも自分の持ち物を
直接トイレの床に置くぐらいなら
根性で排泄を我慢して他のトイレを探すか
持てる技術を総動員してとにかく何としてでも
持ち物が『床に触れない』方法を考えるか、
お財布だけ口にくわえてあとの荷物を
お店の人に頼んで見ていてもらうのでもいい。

ケガレの思想から己を解き放てない未開人、と
文明社会の皆様に陰口を叩かれても構わない、
これはもう理屈ではなく感情の問題なのでございます!

しかし郷に入っては郷に従え、
人は人、我は我、しかし仲良し、
みんなちがってみんないい。

私はトイレの床に荷物を直接に置く方々を
非難したいとかそういう考えは持っておりません。

が、この間、エジンバラ(Edinburgh)の
高級デパート『Jenners(ジェナーズ)』で
私の個室の隣に入ったそこのお嬢さん、
いくらなんでもテイクアウトのコーヒーを
トイレの個室の床に直置きするのはどうですか!

ちなみにそのコーヒーは飲みかけ。

御用を済ませた後の彼女は普通に
そのコーヒーを飲み続けていらっしゃいました。

もうここまで来ると、これはこれで
英国における公衆衛生基準の高さの証、
だってトイレの床なんてキレイでしょ、
逆に日本のトイレってそんなに汚いんですか?
みたいな話のような気もしてくるんですが、
・・・でもその理解は違いますよね?

トイレを使った後は手を洗いましょう、
食べ物に触れる前にも手を洗いましょう、
これは衛生知識の基本ですよね?

私は例えば使いかけの口紅を
トイレの床に落としてしまったら
そっと口紅を拾いつつ
「今までありがとう、こんな別れ方でごめんね」
と心の中で呟いて
それを手近なゴミ箱に投げ込むわけですが
・・・これはこれで
もったいない精神が足りないのかしら?

とりあえず私はトイレでは
手元に気をつけたいと思います。

はい。


英国人全員がこういう態度だ、
というわけではないので、念のため

トイレ床に絶対に物を置かない女性も
英国社会には多く存在いたします、たぶん

で、何故今このネタかと申しますと
先日ちょっと高級なパブのトイレに行ったら
きれいなお嬢さんが
お化粧直しをしていたんですけど
その彼女がその際上着やらカバンやらを
洗面台前の床に広げて置いていてですね

洗面台の前の床だから少々
水滴が散らばっていたりするんですよ

『手洗いの際に生じた水滴』は
理論的にはそれほど汚くはないのかもしれない、
でも私はやはり少し驚いたの

いえ、私もたとえば空港のトイレを利用するときに
小型のスーツケースをやむなく同行することはある
そういう時はスーツケースはどうしても
トイレの床に直置き状態になるわけではある
しかしあれはあくまでも例外というか

皆様はトイレの床に物を置けますか?

置けると答えたそこの貴方、
コーヒー(飲みかけ)も置けますか?

置ける貴方も置けない貴方も
お帰りの前に1クリックを

人気ブログランキングへ