しかしですね、
ルーヴル美術館というのは
あれは楽しむには
体力が必要な現場でしたよ。

モナ・リザの後、
ナポレオンの戴冠式』を観て
「これは今でいうところの
写真つき新聞記事兼
王室広報って感じの絵なのかね」

「そうでしょうね、この絵画に
登場できたら時の人、なんでしょうね」

「画家(ダヴィッド)も大変だよなあ、
現場でスケッチして構図を決めて
それから怒涛の似顔絵大会だものなあ」

で、もうこの時点で実は
我々はふたりとも足が疲れておりまして。

ひきこもり北国代表の私はともかく
普段健脚でならす夫(英国人)が何故、
という感じなのですが、本人いわく
山道などの傾斜のある未舗装路と違って
美術館の硬い床は足腰に辛いものだそうで。

そんなわけで休憩を取るために
入り込んだ小部屋というか大部屋で
我々はかの有名なルーベンスの連作
マリー・ド・メディシスの生涯
に出会ったのでした。

部屋の中央にあるベンチに座り込んで
周囲に飾られたフランス王妃の
華麗なる生涯を眺めるうちに
私はある真理を悟るに至りました、
ああ、パトラッシュ、ルーベンスは絶対に
私をモデルに選んではくれないよ・・・

何かしら、彼の思うところの女性美は
間違いなく私から
果てしなく遠いところにあるというか、
彼の描く女性が豊満な曲線で
むっちりと構成されているのに対し
私はほら、サウンドウェーブもびっくり
直線四角柱デザインですから。

キャンバスの上の彼女たちから
甘い蜜と果物の香りが漂ってくるとしたら
私は何かな、濡れた石と
乾いた灰の匂いみたいな感じかしら?

「なんか・・・夫よ、ごめんな・・・」

「その突然の謝罪は何ですか」

「いや、私はどう頑張っても
このルーベンスの描く
女性たちのようにはなれんからさ」

仮にあと40キロ増量しても
彼女たちのように全身むっちり
健康的かつ豊満、という具合には
私はなれない自信があるんですよね。

やっぱり彼女たちはあれですな、
ただ太めなだけじゃないですな、
太っている姿が様になる程の
真実の美貌であるからこそ
ルーベンスのモデルに選ばれた、というか、
ああ、なんだろうなあ、そういえば私
先日新しい隣人に挨拶をしたら
「君ってあれだね、
帽子をかぶった後姿が
『棒人間(Stickman)』に似てるね!」
って悪意なく言われたしなあ!

まあ以上は冗談で
『マリー・ド・メディシスの生涯』は
見ごたえある素晴らしい展示でした。

ルーベンスったら
ネロが憧れるだけのことはありますよ。


モナ・リザ展示室に比べると
格段に人が少なく静かなところも
絵画鑑賞派の方には嬉しいかと

それぞれの絵の意味するところを
夫と一緒に推量しつつ、私は一人
岡野玲子のパロディ精神に
こっそり感服していたのでした

わかる方だけわかってください、
『両国花錦闘士(第4巻)』のアレです

わかる方もわからない方も
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・・・こういう絵の登場人物は
どの程度『美化』されているんでしょう
あんまり修正を入れても
実物とかい離していたら
それはそれで問題だろうし

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・・・そう、ルーベンスの
オリジナルにおける
裸体の報満美はまさに
力士へのオマージュにふさわしい

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・・・このパッケージ、
完全ネタバレじゃないですか