皆様「ヒルレース(Hill Race)」という言葉を

お聞きになられたことはありますか。

山岳徒競走とでも訳せばいいのでしょうか、

つまりそこらへんの美しい山や丘を

全速力で登り、そして駆けくだるという

最近英国で人気の競技です。

近所にある某大学が

大学校舎の裏手にある丘を利用して

毎年このヒルレースを開催しているのですが、

参加者は年々増える一方な様子。

皆、何を考えているの?

ちなみに優勝賞金とかはありません。

皆、本当に何を考えているの?

レースコースは

距離8キロ、高低差約400メートル。

こうやって書くと何てことなさそうですけど、

私がその丘を登って降りるには

約3時間半かかります。

・・・すみません、見栄を張りました、

必ず途中で休憩が必要となるので

実際には4時間かかります。

登山道はあってなきがごときもので、

基本的には草地か砂利道、

もしくは岩場、みたいな感じです。

普通に歩くのでも

気を抜けばぬかるみに足を取られたり

濡れた石で滑ったりの危険が伴います。

それを全力疾走ってどうですか。

そしてこのレースに

去年に引き続き今年も参加したわが夫(英国人)。

・・・私との共同生活で

口に出せないストレスでも

溜まっているというのでしょうか・・・

レース当日、

エントリー会場に行きましたら

「予想される天気:雨」

「山頂部は現在かなり寒いです、

またコース全体が

とても滑りやすくなっています、怪我に注意!」

などと書かれた掲示板が出ていました。

本当に怪我に注意してもらいたいのなら

レースそのものを中止すべきだと思います。

雨雲が段々とその色の濃さを増す中

スタート地点にはどんどん人が集まってきます。

その数、約300人。

何度も言うようですが

別にこのレースに勝ったからって

何かご褒美が出るわけではありません。

むしろ参加料を各自が払わねばならない。

学生時代のマラソン大会が

心底嫌いであった私には

理解できない人々の集団です。

しかも全員、すごいやる気に満ちた眼差し

わが夫を含め。

この目は・・・

この目はとうとうタイツを脱ごうとするときの

江頭2:50の目だ・・・!

そしてスタートの合図が

緑の森にこだましました。