■敗戦後に訪れた、日本の「最大の危機」
現在の保守論壇を先導する江崎道朗先生の新刊。
江崎先生は別著『アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄』（祥伝社、2016年）において、大東亜戦争を再検証するに際しては少なくとも「５つの視点」で見ることが必要だと指摘します。

その「５つの視点」とは、
１．ルーズヴェルト大統領の強い意向
２．ソ連コミンテルンと中国共産党による工作
３．イギリスのチャーチル首相によるイントレピッド工作
４．蒋介石中国国民党政権の工作
５．日本政府および日本軍内部の親ソ派たちによる工作
の５つになるのだそうです。
　
『アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄』では「ソ連コミンテルンと中国共産党による工作」の中でも、特にコミンテルン、およびアメリカ共産党による対米工作、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』（PHP研究所、2017年）では「日本政府および日本軍部内の親ソ派たちによる工作』が中心に据えられて描かれていると言えます。
　
そして本作。
いわゆる教科書的な通説でいけば「日本は戦争に負けたことで終戦を迎え、平穏を取り戻し、GHQによる占領を受けながらも、朝鮮特需を契機に経済的困窮から脱することで、戦後復興を果たし、主権を回復。高度成長時代を迎える。」ということになろうかと思います。
ですが、本当にこれは「事実」なのでしょうか？
　
江崎先生は、「”敗戦で平和になった”というのは誤った認識であり、日本はむしろ、戦争に敗北してから”最大の危機”に直面することになった」と指摘します。
その危機とは、日本で共産革命が起こり、ソ連・中国共産党の影響下に入るということ、すなわち、日本も北朝鮮と同じようになっていたということです。
　
本作では、ソ連コミンテルンと中国共産党による対米、対日工作が戦争終結「後」も続き、日本は「敗戦革命」という”赤の恐怖”に瀕していたことを、それを回避するために決死の覚悟で戦いを挑んだ日米の保守自由主義者たちがいたことを明らかにしています。　
　
ソ連コミンテルンと中国共産党の工作の凄まじさは『日本占領と「敗戦革命」の危機』を手にとって体験して頂くとして、本書評では、日米の保守自由主義者たちにスポットを当てて考察したいと思います。

日本占領と「敗戦革命」の危機 (PHP新書)

『日本占領と「敗戦革命」の危機』書評① 赤の恐怖から日本を守った日米の保守自由主義者と昭和天皇

『日本占領と「敗戦革命」の危機』書評①　赤の恐怖から日本を守った日米の保守自由主義者と昭和天皇