新入生の皆さんはじめまして。そして、理科三類合格おめでとうございます。2019年卒および2016年度Scorpionsで主将を務めました吉澤和大と申します。
自分は救急医志望として、現在横浜の救急医療が盛んな病院で初期研修をしております。断らない救急を標榜し、新型コロナウィルスやその陰に隠れた重症症例を日々診察しています。
もうすでに3人ものOBの先生がScorpionsの魅力を語ってくださっているので、僕からは二点だけ、この部活の魅力をお伝えしたいと思います。
この部活の経験によって培えたものとして「一瞬一瞬のコミュニケーションの能力」があります。アメリカンフットボールというスポーツは、様々なポジションのplayerおよびサイドラインのstaffが、playとplayの間のごくわずかな時間にお互いの持っている情報をできる限り共有し、最善のplay選択をしていくということに特徴そして魅力があると思います。その中で重要になるのが、一瞬で目の前の情報を処理し、過不足なく仲間に伝えるという能力で、それは今の救急診療で大きく役立っているものなんです。救急医療でも、重症症例はチームで診療し、目まぐるしく状態は変化するので、その中で重要な情報を皆で共有しながら、治療を進めていきます。その時にScorpionsでの経験が活きているなと強く感じます。また、アメリカンフットボールは準備のスポーツと言われていて、どのスポーツよりも相手チームの分析にこだわって、それに対抗するのに最適な戦略を見つけ、その戦略遂行のための練習メニューを組んでいきます。その思考プロセスは、救急隊からの事前情報から診療戦略を練るところ、各種検査データから手術の戦略を練るところなどに通じるところがあると考えています。医者にとって非常に重要なこのコミュニケーション能力と、分析計画遂行の能力を培う上ではベストな部活だと思います。
一方で、この部活の一番の魅力は、何か能力が手に入るということよりも、青春と呼ぶにふさわしいキラキラとしたかけがえのない時間そのものにあると思います。先輩と一緒に駒場キャンパスで汗だくになって筋トレした後に食堂で食べた夕飯も、幹部としてリーグ優勝に向けて日が明けるまで同期と語り明かしたあの夜も、引退試合での勝利を決めた後に後輩と交わしたあの熱い抱擁も、自分の人生において本当にかけがえのないものでまるで昨日のことのように思い出されます。きっと、誰もがこのチームで漫画の主人公のような日々を過ごせるのではないかと思います。それはきっとアメリカンフットボールが究極のチームスポーツであるから、そしてScorpionsがどこよりもアツい集団でそのアツい思いが代々受け継がれてきたからなのかなと思います。
この時期の選択は大学6年間を左右する気がして、きっと皆さん不安なことも多いでしょう。でも、きっとどれを選択してもたいていどうにかなります。一番大事なのは「正解を選ぶこと」ではなく「選んだものを正解にすること」だと思っています。そしてこのScropionsはどんな人にとっても「正解」になりうる可能性にあふれた部活だと断言できます。コロナウィルスの脅威を退け、またグラウンドに駆けつけたとき、新しい仲間がその場にいることを心から期待しています。最高の6年間をつかみ取ってください。
2019年卒 吉澤和大