現実と幻想のはざま -3ページ目

現実と幻想のはざま

ちょっとスパイシーでありそうでなさそうな物語の世界に誘います。

 

今の彼は容姿は普通、でも私好みの一重でたれ目、そしていわゆる低音ボイス。

何を言っているか聞き取れないほどの低い声になぜか惹かれる。

 

甲高い声の男やおしゃべりな男は昔から苦手。

 

彼は静かで控えめだが、いつも自然にリーダーになってしまう人。

 

本当に優しくて自然な気遣いができる、男が惚れるようないい男なのだ。

 

でもベッドでは心も体もとろけさせるほどのワイルドな一面も持っている。

 

一生ついていきたいと思わせるめったにいない極上男子。

 

こんなに人を好きになったのは久しぶりだ。

 

 

その彼と付き合って1年ほどたった時に、ほろ酔い加減の彼がふと学生時代の話をしてくれた。

 

彼は中学時代にバスケット部で、結構強くて県大会でいつも上位だったとのこと。

 

楽しかったが、先輩による後輩いじめがひどかったらしい。

 

彼も休憩時間に先輩たちから押さえつけられ、ほうきの柄をお尻の穴に突っ込まれたりしていたとのこと。

 

結構痛くて、しばらく椅子に座るのがしんどかった、と。

 

自分が先輩になったときは同級生と話し合って、こういういじめは絶対にしないと決めたとのこと。

その後、いじめは止んだらしい。

 

やっぱり好きになってよかったと心から思った。

 

なかなかここまで男前な男子はいない。

 

普通はいじめられたら、自分たちも憂さ晴らしで後輩に同じようなことをすると思う。

 

でも彼はいじめの連鎖を断ち切った。

 

 

深刻そうに話していなかったので、その時は特に気に留めなかった。

 

でもしばらくして、ふつふつと怒りがわいてきた。

 

彼にリーダー格の先輩について何気に尋ねてみた。

地元では割と大手のメーカーで営業をしているとのこと。

 

ちょうどその会社が私の勤務先と関連があって、数か月前にそこの会社の人事部と飲み会をしたことを思い出した。

 

その時、人事部長に妙に気に入られた。

 

これは何かのお導きかもと思い、その部長に相談事があると連絡を取ってみた。

 

あっさり会ってくれることになり、彼には友達と飲んでくると断って出かけた。

 

もともとお酒は強いのでハイピッチで飲み、その部長も酔ってきたのがわかった。

 

そしてさりげなく「○○さんてそちらの会社にいるって聞いたのですがご存じですか」と尋ねてみた。

 

すると、自分は人事部長なのでよく知っているとのこと。

 

これはいけると思い、その人が学生時代に部活で後輩に壮絶ないじめをしていたこと、

被害にあった一部の生徒は後遺症が残ったことを伝えた。

 

するとその部長の表情が変わって「そういうやつは嫌いだな」と言った。


しばらくして彼に、いじめのリーダー格の先輩の状況を尋ねてみた。

 

会社を退職したらしい、でも自己都合ではないようだと風のうわさで聞いたとのこと。

 

心の中で思わずにんまりしてしまった。