現実と幻想のはざま -2ページ目

現実と幻想のはざま

ちょっとスパイシーでありそうでなさそうな物語の世界に誘います。

 

結婚したかったわけではない。

 

親に20代のうちに結婚してほしいと言われ、仕方なくその時付き合っていた人と結婚した。

 

悪い人ではなかった。

 

ルックスもまぁまぁで稼ぎもいいほうだったと思う。

 

でも、私はもともと楽しいことや飲むのが大好きだったので、

 

最初はおとなしくしていたが、次第に友達との飲みが増え、午前様になることもあった。

 

そこで彼が門限を作ったり、毎週末、彼の親に会いに行くことにうんざりし始めた。

 

すごく束縛されたわけではないが、徐々に愛情が薄れ、喧嘩が絶えなくなり、関係は悪化していった。

 

フルタイムで働いていたので、一人でも生きていける。

 

彼に離婚してほしいと言ったが、聞き入れられなかった。

 

好きでもない人と一生一緒にいることに絶望した。

 

そんな時、彼に出会った。

 

彼はとても若く、そして何よりも体の相性が抜群に良かった。

昼も夜も離れられなくなった。

 

夫が帰宅するぎりぎりまで、逢瀬を重ねた。

 

新しい彼と付き合い始めて半年ほどたった時、遠出しようということになり有休をとった。

 

夫には友達と温泉に行ってくると言って、車で1時間ほどの有名な旅館に彼と出かけた。

 

楽しい時間があっという間に過ぎて、翌日帰宅したところ、

 

夫がただならぬ表情で待っていた。

 

これはなんかあったな、とピンときた。

 

案の定「一緒に行ったの友だちじゃないだろ?」と言ってきた。

 

しらを切ったが、「見たんだ」と言った。

 

どうやら夫も有休を取って、私の跡をつけたらしい。

 

ゾッとした。

 

でもこれでようやく別れられると少し安堵した。

 

夫に「離婚してほしい」と再度迫った。

 

そしたら彼は「彼と別れたら今回のことは水に流すからやり直そう」と言い出した。

 

再度、絶望的な気持ちになった。

 

私の中の小さな怪物が頭をもたげた。

 

夫に「もう好きじゃないから、一緒にいてもお互い地獄なだけ。別れたほうがいい」と言ったが

 

夫はまだやり直せる、の一点張りだった。

 

なぜここまでこだわるのか分からなくて、彼が哀れになった。

 

とりあえず、新しい彼と別れるように言われたので、承諾したが

 

その後も若い彼から離れることはできなかった。

 

夫に抱かれているとき不快だったが、彼としていると想像してしぶしぶ応じた。

 

こんな仮面夫婦なんて世の中にいっぱいいるだろうな、と思いながら。