現実と幻想のはざま

現実と幻想のはざま

ちょっとスパイシーでありそうでなさそうな物語の世界に誘います。


大手の損保に営業アシスタントとして就職して1年。

 

ほとんどいい人ばかりで仕事も楽しく、それなりに充実していた。

 

勤務しているフロアにはすべての営業部署があって、保険の種類ごとに分かれていた。

 

部署は違うが一人だけ挨拶しても無視する年上の女性がいた。

 

私にだけだったのかは今となってはわからない。

 

ある日台所で歯磨きをしていると、「何考えているの。汚れるからやめてよ。」と

 

吐き捨てるように言われた。

 

私は謝って、その後はトイレで歯磨きをするようにした。

 

その後もあからさまに無視されたが、理由はわからなかった。

 

彼女と同じ部署に同じくらいの年上の女性がいたが、その人には逆にすごく気に入られていたので

 

ますます意味がわからなかった。

 

しばらくたったある日、私を無視していた女性を見かけなくなった。

 

同じ部署の気に入ってくれている女性に尋ねると、交通事故に遭って入院中とのこと。

 

不謹慎ながら心の中でにんまりしてしまった。

 

 

今思い返すと、私をいじめたり私につらく当たった人は割とすぐに不幸に見舞われている。

 

中学の時の仲良しグループのボス的な女子は、


私を無視するように友達に言ってすぐに転校になった。

高校の時に仲良くしていた女子はいきなり私を無視し始めて

 

ほかの女子と仲良くするようになったが、学校の階段から落ちて骨折した。

 

大学の時のサークルで仲良くしていた女性が

 

実は陰で私の悪口を言っていたと後から判明したが

 

ほどなく両親が離婚して学費を稼ぐためにバイトを増やしてサークルに来なくなった。
 

 

すべて偶然といえばそうかもしれない。

 

たいてい意地悪な人は複数の人間をターゲットとしているので

 

恨みを買いやすく、不幸になる確率が普通の人より高いのかもしれない。

 

人は多かれ少なかれ憎しみを抱くことはあると思う。

 

心の中で思っているだけであれば犯罪ではないが

 

比較的多数の人間が特定の人間に負の感情を抱いた時

 

見えない何かが作用すると思われる。

 

その何かが、時には本人ではなく家族や親しい人間に影響を及ぼすこともあるのでは。

 

 

情けは人のためならず。

 

つくづく思う日々である。