母親は自分の体たらくに自傷気味にほくそ笑んだ。
しかしすぐにそれが幻聴でないことに気づいた。
笑い声が近づいていた。
狂気染みたように聞こえるがどこか悲しさをも感じさせる笑い声が確実に自身の方に近づいて来るのが分かった。
母親は気味が悪くなりその場から離れようとした。
その瞬間、声が聞こえてきた。
「どこ行くつもり?また一人にするの?キャハハハハ‼︎」
自身の背後に何かがいる。
母親は恐る恐る後ろをゆっくり振り返った。
後ろにいたのはゲキカラだった。
しかしその姿は母親が知る彼女の姿ではなかった。
血が垂れ落ち、乱雑に切られた爪を噛み左手には先ほど投げ捨てたばかりのウイスキーのボトルを持っていた。
そして自身を冷たい目で見上げ、不気味な笑みを浮かべる彼女の姿がそこにあった。
どうにか落ち着こうと一旦、深呼吸をした後、ゲキカラに問い詰めた。
母親「玲奈、何のつもり?」
するとゲキカラは突然、狂ったように身を捩らせ笑い始めた。
そして母親を見上げ、一言言い放った。
ゲキカラ(幼少期)「ねぇ、怒ってる?」