珍説23・無期懲役は十数年で出てくる | 誰かの妄想

珍説23・無期懲役は十数年で出てくる


東京都江東区で起きた女性殺害・死体損壊事件で逮捕された星島被告の高裁判決(2009/9/10)に対するコメント。
東京高裁は、無期懲役とした一審判決を支持し、死刑を求めた検察側控訴を棄却したのを受けて、死刑待望派が大量に非難コメントをつけた。大方のコメンタはネットやテレビで得た情報だけに基づいているにもかかわらず、「裁判官はわかってない」「不勉強」などと謙虚さのかけらもない思い上がったコメントが散見される。

”無期懲役などふざけるな!”的な意見の中には、そもそも無期懲役に対する無知があるようだ。



【珍説】無期懲役は十数年で出てくる

(類型1)
なにが、他の事件と比較しても無期懲役が適切だ!
人殺しておいて、実質10年ちょい(ケースによっては数年)
で出てこれる法律を何とかしろ!

(類型2)
検察頑張れ。
数十年、早けりゃ十数年で出て来る無期懲役なんかじゃ無関係の自分でも不満。
無関係を装ってニヤニヤ受けてたインタビュー、残虐な遺棄の仕方を思うと死刑でも足りないくらい

http://headlines.yahoo.co.jp/cm/main?d=20090910-00000040-jij-soci&s=points&o=desc



【事実】
まず、無期懲役が10年で出られるなんてのは、都市伝説です。
10年経てば、仮釈放の申請が出来ると言う規定になってますけど、実際には20年以上でなければ申請を行うことはほとんどなく、有期懲役の上限が30年になったことに合わせて、さらに延びる傾向があります。
もちろん、申請したからと言って必ず仮釈放されるなんてこともありません。

仮釈放が認められた人の平均服役年数は20年~30年程度と言われますが、この中には、40年、50年と服役してなお、服役中の囚人は含まれてません。

参照:http://www.geocities.jp/y_20_06/wagakunino.html


scopedog


ちなみに、あの産経新聞だって、「無期刑の無理解」と題したコラムを出している。

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http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/080511/acd0805110203002-n1.htm
【断 中村文則】無期刑の無理解
2008.5.11 02:02

このニュースのトピックス:コラム・断
 無期懲役という刑は、色々誤解がある。仮釈放で十数年で出てくる、なんて言葉をよく聞くが、実際はそんな簡単に出てこられるものではない。

 平成18年、無期刑受刑者で新たに仮釈放になったのは3人。その平均は約25年ということだ。だがこういう情報も、無期懲役を語る上で正確ではない。なぜならそれは「仮釈放が認められ、出てきた人」の平均年数であって、それは無期懲役そのものの平均にはならない。40年以上、50年以上、そのまま獄死の場合もある。

 ちなみに外国にある「終身刑」も、よく誤解される。名前は「終身刑」であるが、多くが仮釈放が認められている。仮釈放のない終身刑を採用している国は、意外にもそれほど多くない。

 なぜ無期懲役が十数年で出られる、という言葉が広まっているのだろう。刑期が10年経てば仮釈放を許可できると法にあるが、過剰な表現に走りがちなテレビ報道に加え、無期懲役の実情が社会に詳しく知らされず、年数が曖昧(あいまい)な性質を帯びていることも大きい。

 無期懲役と判決が出た裁判は国民に開かれているが、その後の無期懲役の運営に関しては、それほど開かれていない。多くの国民は無期懲役の内実も知らないまま、裁判員制度を迎える。これで本当に大丈夫だろうか。

 僕は、刑務所がどういうところか、学校で教える必要があると思っている。受刑者の現状と償いの話を、学校で聞かせることも必要だと思う。刑罰がベールに包まれていれば、それは抑止としても成り立ち難い。(作家)
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(雑感)
ネットで”殺せ!殺せ!”の大合唱をやってる連中は、安全な場所から「死刑ショー」を楽しみたいだけなんだろうなあ、と思う。
遺族の感情とか無期懲役制度の”不備(実際はただの無理解)”なども、自分たちが気持ちよく「死刑ショー」を楽しむための演出に過ぎないのだろうね。