珍説21 法務大臣が死刑判決後6ヶ月以内に死刑執行の命令を出さないのは違法
【珍説】法務大臣が死刑判決後6ヶ月以内に死刑執行の命令を出さないのは刑事訴訟法第475条に違反する違法行為だ。
(類型)
「本来、法務大臣が死刑を執行しなかったら、職務怠慢なのだが。」
「法相が率先して法律違反(刑確定後六ヶ月以内の執行)をするような事はもうやめよう」
「ふむ。法律に違反しろと。」
「法務大臣への法律違反のススメ」
http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/good2nd/20090905/1252124034
【事実】
刑事訴訟法第475条第2項が、法務大臣は死刑執行命令を判決確定後6ヶ月以内に出さなければならない、と記載しているのは事実。
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第四百七十五条 死刑の執行は、法務大臣の命令による。
○2 前項の命令は、判決確定の日から六箇月以内にこれをしなければならない。但し、上訴権回復若しくは再審の請求、非常上告又は恩赦の出願若しくは申出がされその手続が終了するまでの期間及び共同被告人であつた者に対する判決が確定するまでの期間は、これをその期間に算入しない。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO131.html#1007000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
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しかし、東京地裁は、平成10年3月20日の判決で同項に対して以下の判断を下している。
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一 刑事裁判の執行は、一般に、その裁判をした裁判所に対応する検察庁の検察官の指揮のみをもってこれを行い得るものとされているが(刑訴法472条)、刑訴法475条1項が特に、「死刑の執行は、法務大臣の命令による。」と規定している趣旨は、死刑執行という事柄の重大に鑑み、特に慎重な態度で挑むため、その指揮を我が国の法務行政事務の最高責任者である法務大臣の命令に係らせたものであると解される。
そして、刑訴法475条2項本文は、法務大臣の死刑執行命令は、死刑判決確定の日から6ヶ月以内にしなければならないと規定している。
思うに、同項の趣旨は、同条1項の規定を受け、死刑という重大な刑罰の執行に慎重な上にも慎重を期すべき要請と、確定判決を適正かつ迅速に執行すべき要請とを調和する観点から、法務大臣に対し、死刑判決に対する十分な検討を行い、管下の執行関係機関に死刑執行の準備をさせるために必要な期間として、6ヶ月という一応の期限を設定し、その期間内に死刑執行を命ずるべき職務上の義務を課したものと解される。
したがって、同条2項は、それに反したからといって特に違法の問題の生じない規定、すなわち法的拘束力のない訓示規定であると解するのが相当である。(中略)
(via)
http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/blog-entry-625.html
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したがって、法務大臣が6ヶ月以内に死刑執行命令を出さなくとも、違法であるとはいえない。
(まともな指摘)
http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/good2nd/20090905/1252124034
「刑訴475条2項は単なる訓示規定で法的拘束力はないから問題ない。」nisshiey_s1